量子力学を一通り理解したと思っている人に読んでもらいたい本。今まで知らなかった量子力学の深遠が覗き見える本。ディラックの量子力学の入門書と同様に濃い内容である。実験結果から量子力学の定理を導き出す手法は、なんと言ってもすばらしい。ただ、値段が少し高いのが玉に瑕である。邦訳も出ているようである。後半には、現在でも問題となっている量子力学の基礎分野（文脈依存性）も書いてある。彼の本が出版された後に量子力学では大きな進展がいくつかあった。一つは小沢さんによるハイゼンベルグの不確定性原理が間違っているかもしれないということである。他にも量子情報理論ではエンタングルメントで大きな進展があった。本書ではそのような最新の進展には触れていないが、量子力学の深遠に触れてみたい人にはお勧めの本である。