四季折々の高台寺の美しさを水野克比古の写真で表現
★★★★☆
水野克比古の写真の素晴らしさは定評があります。また高台寺の美しさも同様でしょう。ねねの道の整備もあって、東山界隈でも人気の高い寺院となっています。豊臣秀吉が亡くなった後に、その菩提を弔うために秀吉夫人の北政所(ねねさま)が開いたお寺です。開山堂、霊屋、傘亭、時雨亭、表門、観月台等は重要文化財に指定されているそうです。
その高台寺の四季折々の美しさを写真集にしたのが本作です。2004年9月に発売されたオールカラー87葉の写真集です。
満開の桜の向こうに透けて見える忠魂堂、ライトアップされた妖艶な枝垂れ桜、唐門花頭窓から見える枝垂桜、ろうそくの明かりが浮かび上がる遺芳庵吉野窓、臥龍池の紅葉と開山堂、ライトアップされた紅葉の向こうの傘亭、雪によって文様が白く浮かび上がったような波心庭砂盛、などお気に入りの写真の情景をページ順に記しましたが、文章では写真の素晴らしさをうまく説明できません。
50ページ以降の写真も興味をひきました。有名な霊屋内陣の階段や秀吉公厨子扉などはすべて黒漆が塗られた上に、絢爛豪華とも言える蒔絵が浮かび上がるようになっています。ここの蒔絵の素晴らしさは評判ですし、水野さんは自然光の中で捉えている写真から自然の姿が浮かびあがってきます。
巻末に交通地図と境内図、交通案内があり、寺院の紹介は日本語、英語、中国語、ハングルで記載してあります。水野さんのあとがきもあり、長年この寺の写真を撮ってきた思いも綴られていました。