著者による前書きはとても面白くて内容への期待を抱かせたんだけど、いざ読み始めてみると、どうしても書簡の言葉しか使えない、という著者自ら課した制限のためか、場面の盛り上がりに欠ける気がする。おまけに中盤になってくると、どっから考えついたのか、現代のテレビスタジオから時空を超えたモーツァルトの演奏会生中継なんて場が出てきちゃったりして、いくらそれが私のお気に入りのハイドン・セットだったとしてもだね、そりゃーあんまりだよ、という気になる。悪ノリだよね、やっぱり。
また、著者はこの本がホントに公演されることを望んでいるそうで、希望する配役までも書いてある。彼によれば、かつていろいろな映画や芝居でモーツァルトを演じた俳優は失敗に終わった、というのだけど、その彼がモーツァルト役に指名したのは何と、ダスティン・ホフマン!う~ん、これは観てみたい!