引用に脚色が多いようです
★☆☆☆☆
新選組関連の本を読んでいて戸惑うことに、
断定文で記述される内容ほど、根拠資料が省略されていて、
一般に認められている定説なのか、著者の研究に基づく考察なのか、
研究経験に基づく感想なのか、区別がつかないことです。
この本で特に戸惑ったのは、紹介される資料が、要約され脚色されていても、
単なる原文の現代用語への読み直しだけにとれる引用がなされていて、
他の本で紹介され考察される内容と意味合いが違うものが多かったことです。
限られた紙数での紹介を目的としても、解説も時系列に添うわけでもなく、
全体に散漫とした印象でした。
例えば、終章の会津戦、
『会津藩はあくまで(新政府に対して)徹底抗戦の姿勢をくずさなかった』
の一言で説明されては、物足りないというよりこれで断定文はご勘弁な気がします。
新撰組入門的な書
★★★★☆
大河ドラマの制作にも加わっている著者が書き下ろした新撰組の通史である。題名の通り,新撰組の結成から函館戦争までの新撰組の歴史が書いてある。この本で特筆できるのは,最近発見された永倉新八の『浪士文久報国記事』などの新史料,新撰組側から史料のを引用しながら,歴史を叙述しているところにある。これによって,わかり易く正確に新撰組の軌跡を追うことができる。
ただ,あくまでも通史なので,新撰組を始めて読む人には,十分なのであろうが,かじったような人になると物足りないのではないだろうか。そんな点から評価を少し下げました。
後は,PHP新書の『新撰組日記』に収録されていない島田魁の「官軍海軍日記」が収録されていることが特筆できる。