おそらく題名の「現代解析学への誘い」とあるように、微分積分・線形代数学を修得した人たちに次のステップアップをしてもらうための架け橋として書かれたのだろう。
まず第一章の「縮小写像と不動点」であるが、関数解析学の入門という位置づけと思われる。微分積分学のみの既習者からするとあまりみたことのない論法をあえて使っており、関数解析学的な思考が手軽に身に付くと思われる。微分と積分2で証明済みの陰関数定理をあえてまた取り上げたのもそういった趣旨だろう。
その他の章についても、第二章はおそらく測度論と多様体の架け橋。第三章はルベーグ積分論、関数解析、微分方程式論への準備とでも解釈できるだろう。
より専門的な数学を企図している方にとっては、本書によって少ない負担で頭の準備ができるのではないかと思う。