上下巻に分かれていて、それなりの分量がある作品だが、全体のペース配分にも若干違和感を覚えた。主人公の過去に関する描写にかなりの比重を置いているのに比べて、本筋と思われるストーリの描写が駆け足気味であり、本末転倒に思えた。テロの舞台装置が大掛かりなのに、肝心のテロ実行犯と主人公らのチェイスが、行き当たりばったりで稚拙感が拭えない。
同時に、主人公を含めた主要登場人物についても、個々人の思惑、屈折した想い、そして野望が丹念に描かれている割には、その結末について、ありきたりの描写がなされているか、あるいは殆ど触れられておらず消化不良を起こしてしまった。
ペース配分を誤っている点があらゆる部分で響いてしまったように思える。
何でこんな話にしたかね。田舎警察で腐っていた五十間近のオヤジが2度と現場に戻れるわけはないだろに。
警察庁警備局長がこういうオヤジスパイを使うのは何か裏があり、その警備局長も知らない裏の筋書きがあり、さらにそれを操る巨大な陰謀があり、というような二重三重のどんでん返しを期待したのに。。。
こんな、ど真ん中まっすぐで、思い切りはずして、これから大丈夫なのか、麻生。