インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

チベット旅行記 抄 (中公文庫BIBLIO)

価格: ¥182
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
Amazon.co.jpで確認
いざ行かんヒマラヤの雪ふみわけて法(ノリ)の道とく国のボーダ(チベット)に 慧海 ★★★★★
1899年、仏教の原典を求め鎖国のチベットに単身潜入した、黄檗宗の禅僧の記録。関所を避けるため大きく迂回するコースを選ぶが、それは雪と岩のヒマラヤを越え困難を極め、よく死ななかったという事態が次々に現れる。でも最悪の時に幾度も座禅を組み観想して決定してゆくのはいかにもお坊さんらしい。

僧侶であるため宿泊やお布施等、一般人より容易だった面もある。あまりにも有り得ない様々な場面が多いので、行った事は認めても内容を疑問視されたが、死者の鳥葬等後の人により確かめられ、ようやく評価されるようになる。

日本人であることがバレそうになり、係った人々に累が及ぶのを恐れ、私を突き出してくれと頼むが、そんな事は出来ないと言われ已む無く脱出。しかしその人々が捕らえられ、色々運動するが結局説得され帰国。この辺の事情は一寸首をかしげるが、兎に角仏典持ち帰りを優先させたのだろう。慧海の単なる冒険ではない、仏教信者としてのひたむきな様には心を打たれた。

波瀾万丈の古典的チベット潜入記が1冊で堪能できる ★★★★★
 今なお「秘境」と呼ばれるチベットに、100年以上も前に潜入した僧侶、河口慧海の旅行記。もともと周囲を高山に囲まれたアクセス困難な場所だが、その上、当時のチベット政府は鎖国政策をとっていた。日本には伝わらなかった、インド直伝の仏教のエッセンスを求める熱意が、とてつもない潜入行を可能にしたのだ。

 ……というと何やら小難しそうだが、次々と降りかかる試練に、僧侶としてのストイックな姿勢で立ち向かっていく様は、時にユーモラスですらある。実際、発表当時は大ボラ吹き扱いされたほど、波瀾万丈の面白さ。異文化に対して物わかりがよすぎる昨今の旅行記とは違い、不快なものは不快とハッキリ書く率直さも痛快だ。

 慧海の『チベット旅行記』は、講談社学術文庫の5巻本をはじめ、これまで何種類かの形で刊行されてきた。本書はそれを、とっつきやすい形で1冊にまとめた抄本だ。抄本ながら、慧海節のツボを存分に堪能できると思う。

 なお、慧海のチベット行をめぐる時代背景、そして同時代にチベットを目指した日本人たちについて、さらに興味をもたれた方には『チベットと日本の百年 十人は、なぜチベットをめざしたか』(新宿書房)もお勧めだ。