埼玉の薄幸の歌人「谷静湖」と石川啄木との関わりを研究した書
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埼玉県には、石川啄木と関わりを持った青年が何人かいる(居た、と云うべきか)。谷静湖もその一人であるが、その存在(研究)はあまり知られていなかった。
今回、北沢文武氏の研究によって、静湖と啄木の関係のほぼ全容が明らかになった事は、嬉しいことです。啄木と同じような生涯であった谷静湖が、何故これまで研究されなかったのであろうか。
谷静湖は、田山花袋の代表作「田舎教師」のモデルではなかったのか?、と私は思うのだが・・・・・
また、石川啄木が文学を志す後進の若者のために、どのような関わりを持ったか、という点にも私は注目している。
啄木が、その文学(研究も同じだが)を自分だけのものと考えず、周囲と協調して広めて行くことの大切さを知っていたからである、と私は思う。貴重な啄木研究書だ。(佐藤勝)