質、量、ともに充実の一冊
★★★★★
著者は日本を含む様々な国々で英語を教えた経験があるため、欧米とは異なる日本独特の教室の雰囲気も了解しているところがミソ。英語を母語とする人が書いたEFL関連の本は、どうしても日本の教育現場の現状にそぐわないところがあるように思いますが、本書はそのジレンマを見事にクリアしています。異文化に敬意を払い、生徒の目線で常に英語教育を考えてきた姿勢は好感がもてます。本書に書かれている英語教師としての心構えや授業のアイディアは、どんな国の英語教育現場においても有効なんじゃないかな、と思えました。
世界各国のESL/EFLの教育現場報告が20例紹介されており、外国ではどんな風に英語を学んでいるのかが垣間見えて興味深いです。
また、著者が長年の経験から厳選したスピーキング活動20例や、不成功に終わった授業例が紹介されているのも参考になります。
巻末に収められたESL/EFL関連のwebsiteリストに載っているホームページを実際にいくつか見てみましたが、使えるものがたくさんあり重宝しています。これだけの情報がつまった本なので、買っても損はしないと思います。
本書はとてもシンプルな英語で書かれており、耳で聞いても内容がすっと頭にはいりそうな文体です。この本で使われている言い回しは、ネイティヴ・スピーカーとの英語の授業の打ち合わせの際にけっこう使えると思いました。カチカチの書き言葉ではなく、でもある程度のフォーマルさも保っている感じがします。