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歴史和解の旅 対立の過去から共生の未来へ (朝日選書)

価格: ¥7,372
カテゴリ: 単行本
ブランド: 朝日新聞社
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日本の「和解論」の草分け的著作 ★★★★☆
「和解」という言葉を用いて日本の「歴史問題の克服」を最初に本格的に論じたのが、著者である。

単に世界の「歴史問題」を羅列しただけでなく、「和解」とは何かという問題も論じている。船橋によれば、「和解とは究極的には、それぞれの個人の心からしみ出す悔悟と、心からにじみ出る赦しの交差するところに生ずる潤いを必要とする営為」、すなわち個人の内面レベルの営為である。

他方、「歴史和解」とは、日本と近隣諸国との間に緊張を引き起こしてきた、教科書問題や靖国問題のような歴史問題群に、「開かれた国益の観点から、息長く、実務的に、そして最後は政治的に取り組んでいく」という作業である。つまり、「歴史和解」では、和解という営為の政治的解決としての側面、集団的営為としての性格がより重要な意味をもつ。そして、その目的は、対立の過去を克服し共生の未来を拓くことにある。

『日本の戦争責任をどうとらえるか――歴史和解ワークショップからの報告』(朝日新聞社・2001)とあわせて読むとさらに理解しやすい。

和解論に関心をもつものが、まず最初に手にとるべき本であろう。自分の関心のもてるテーマを見つけることもできるだろうし、自分の研究テーマを良い意味で相対的、客観的に眺めることができるようになるだろう。
国際的視野からみる、冷戦後の新風景。 ★★★★★
「歴史問題」は日本だけにかぎったことではない。近年、グローバルに沸き起こっている世界的現象なのだ。船橋はそう説き、具体的事例を万華鏡のように並べていく。アフリカ、スペイン、イスラエル、アメリカ、…。

本書は、過去10年の執筆活動のなかから、歴史問題と「和解」に関するコラムを選び出し、用語注・人名注をつけ、索引もつけて編集して刊行された。今からみるとなつかしいものもあり、若干舌足らずの注もあるが、このように一定の分量をまとめたことで、週間連載ではこま切れになっていた冷戦後の新風景が鮮やかに浮かび上がってくる。率直にいって、一読の価値がある。目次をみて、興味をひかれたコラムから読み進まれるとよいだろう。

本書を読んで、もっと考えたいと感じた方は、ワークショップ企画をまとめた船橋の編著書もあわせて参照されたい。こうした感情的な問題を、(どちらかといえば)冷静に見つめ記述しようとする彼の態度とバランス感覚に敬意を表したい。