ぎこちなさが良い
★★★★☆
1982年に文化出版局から出た単行本の文庫化。
エジプト学者として著名な吉村氏が、各地の遺跡を紹介した本。アブ・シンベル神殿や王家の谷などの有名どころから、ややマイナーなところまで丁寧に教えてくれる。ガイドブックとしては物足りないかも知れないが、家でエジプト気分にひたるには良いだろう。
吉村氏が国中の遺跡を旅してまわるという構成になっており、その先々で現地の人々との交流がある。発掘の際の技術者だとか、宿屋の主人、かつて世話になった警察署長など。そういう人たちとの交流に心温まる。特に彼らとの会話の部分に興趣がある。ぎこちないながらも面白い。