朝日新聞歌壇と石川啄木の関係を徹底研究した最初の本!
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一昨年12月1日より、朝日新聞の首都圏版夕刊の毎週土曜日に、穴吹士史という方の文章で「歌う記者 石川啄木」が連載されていた。多分十数回の連載だったと思う。
啄木の朝日新聞社時代の事が、新聞記者の経験者らしい筆力で書かれていたので興味深くよんでいたが、そんな日々の私の所へ、このたび、驚く様な啄木図書が届いた。
上記の平野英雄著『啄木と朝日歌壇の周辺』である。著者とはお目にかかった事はないが、共通の啄木友人を介して知り合いとなり、情報の交換をしてきた。
平野氏は、かなり前から「朝日歌壇と啄木」の研究をしてきた人で、貴重な論考も発表されてきたが、今回の著書には、それらの論考のほかに、啄木研究者の一部で、朝日歌壇に載った「白面郎」という人の歌は、啄木の歌ではないか、とも言われているのであるが、この「白面郎」なる人物を詳しく調べた、「白面郎は啄木でなかった」という論考を載せている。
平野氏の執念とも言える研究成果である。と、ともに、この著者からも啄木への熱い思いが伝わってきて嬉しくなる。啄木もきっと、名誉を挽回してくれて有り難う、と言っている事と思うのは、私だけだろうか。本書は啄木に関心を持つ方々には必読おすすめの一冊です。