IIc型限定の美しいアトラス。説明は親切でなく中上級者向けです。
★★★★☆
早期胃癌の中でも0-IIc型の症例を中心に、IIc+III、III+IIc、IIc+IIa、IIa+IIc、スキルス胃癌早期などIIcの亜型も扱われています。参考症例も入れると100数十例くらい紹介されているように思います。古い症例も混ざっているのですが、全く古さを感じさせない美しい芸術的な透視像ばかりで溜息がでます。まさに匠の技です。
欠点を挙げれば、説明は余り親切でなく、「Xの所見の有無でYとZを鑑別できる」としか書いてないので、この行間を読んで「XがあればY、XがなければZ」と解釈できる中上級者でないと、意味を取り違えてしまう恐れがあります。また説明されている病変が実際にどの部位なのか、どの範囲を指しているのか、図に印が付いていないため、わからない人はわからないまま置き去りになる恐れがあります。