職人の珠玉の言葉「籠職人−竹編みの技−」
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今回紹介する「籠職人−竹編みの技−」吉羽和夫 著(玉川大学出版部)は、私のお薦めの本です。いわゆるハウツー本ではなくて、籠職人である浅野さんへのインタビューをそのまま文字に起こした物です。著者の質問は記載されていませんが、章立ててあるので、違和感なく、著者と一緒に浅野さんの横で作業を見ながら話を聞いているような感覚になります。
著者自身は籠の作りについて詳しくないため、さまざまな基本的な作業や編み方を観察し聞き出したものを写真や図解で紹介しています。
本書では、著者の籠との出会いから始まり、浅野さんが竹藪で竹を選ぶところヒゴを作るところ、六目籠や菱四つ目の籠、網代編みや笊編みなどを、詳細に作業後とに職人さんに解説、質問しながら紹介しています。さらには、竹工画と称していますが、竹を画材とした絵の作成についても紹介しています。写真が白黒なのが惜しいくらいに綺麗な絵を作っておられます。それぞれで聞き取った話を丁寧に紹介しています。
著者は姿を消しつつある職人の技を記録にとどめようとしてこの本を書いています。注意して読めば要所々々に、職人の経験からくる含蓄のある言葉がちりばめられています。
技術系の本ではないため、直接的な解説は少ないですが、籠職人浅野さんの言葉からは、考え方やコツが読み取れるのではないでしょうか。まるで武術の指南書のようでもあります。
竹籠や竹細工をされる方にとっては、得る事が多い一冊となるでしょう。
私のブログでもう少し紹介しています。
http://kounsai.cocolog-nifty.com/bamboo_baskets/2007/03/post_58e8.html