地味な戦いに光をあてた戦記物
★★★★☆
菊の御紋をつけた連合艦隊主力艦の海戦が表舞台とすれば、これは地道な日常の海戦だ。漁船改造の駆潜艇や商船改造の軍艦が、連合国の潜水艦狩りに従事する。派手な海戦史とは別の地道な戦い。支援航空機が発見し、60キロ対潜爆弾で攻撃。駆潜艇や海防艦を誘導して爆雷でとどめを刺す。海上に浮かぶ油紋を目視して発見する。
潜水艦の最後もあわれだ。隠密行動を旨とする状況と、その出口が少ない形状から、撃沈されるとほとんどは、全員戦死か行方不明だ。人知れず戦い、人知れず消えて行く。
地味な戦いに光をあてた戦記物。米軍の潜水艦は、主に通商破壊任務を行いながら、結局は、日本の戦艦、空母、巡洋艦も多数撃沈している。敵主力艦を狙ったが、劇的な戦果を上げられなかった日本潜水艦と比較して、かなり活躍したことは皮肉でもある。
そんな米軍潜水艦と地道に対決した、日本の対潜部隊の活躍に光をあてた作品だ。