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テレビ芸能職人

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 朝日出版社
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 「かつて職人芸の宝庫であったテレビ業界が、素人芸の寄せ集めに成り果てようとしている」
   そんな不安感を常々抱いていた著者は、昔ながらの技や知識、心意気を今に伝える現役「テレビ芸能職人」15人にインタビューを行った。相手は照明、記録、殺陣、効果、衣装などいずれも裏方に徹する職人ばかりだ。そんな番組制作の根幹を支えてきた人々の経歴やエピソード、仕事や職場に対する思いを語ってもらうことで、著者は現在のテレビ業界が「失いかけているもの」「失ってはならないもの」を浮き彫りにしょうとする。

   あるスタントマンは、その仕事の大変さを「骨一本折る程度で済めば楽な方」とさらりと表現する。乗馬スタントの落馬シーンで引きずられ、背中の皮の大半をはがす重傷を負ったこともあれば、脚に障害のある馬に乗るため1か月で20キロ減量したこともあったという。また火だるまスタントでは、幾種類ものオイルを巧みに使いこなし炎をデザインしてみせる。肉体や精神の鍛錬だけではなく、日々の創意工夫も職人には欠かせない必須条件なのだ。そしてそのモチベーションとなっているのが、仕事への愛情、そしてプロとしての誇りなのである。昨今の「楽して儲けたがる」風潮を著者は嘆くが、実は連中も、そんな「その道ひと筋」的人生を欲しくてしょうがないのではないだろうか。(中山来太郎)