デルスが「あの人」「この人」と呼ぶ者は霧であったり
オオカミキリであったりとその対象は限りがない。わたしは驚嘆した。
デルスの眼にはロシア人も昆虫も自然現象さえも平等なのである。
彼がものを見るときは常に一対一。彼は放浪者であり、
その生活には都市から排除された「自然」が欠かせない。
地球人ライブラリーと冠せられたこの本だがデルスはまさに相応しい。
彼からすると魚もトラも人間も地球人に見えるはずだからだ。
興味を覚えた方は一読をお勧めしたい。なにもこの本の魅力は
デルスの自然観だけではなく著者の観察描写にも目をみはる。