3Dプリンタの社会的影響を考える―英国の政策レポートをもとに
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設計図を与えてやるだけで、三次元の物体を製造することができる「3Dプリンタ(三次元プリンタ)」が注目を集めている。安価だが高性能の製品が登場し始めたことで、個人でもものづくりに参加できるパーソナル・ファブリケーションの時代が到来すると期待されているためだ。さらに3Dプリンタを始めとしたパーソナルな工作機械の普及により、「新しい産業革命」が到来すると予測する人も少なくない。
しかし革命とは二面性を持つものだ。様々な恩恵をもたらす一方で、暗い影の面も必ず存在する。それでは3Dプリンタが起こす革命によって、私たちにはどのようなメリットと、どのようなデメリットがもたらされ、そこからどのような課題が生まれてくるのだろうか。2012年10月に英国で発表された政策レポートをもとに、パーソナル・ファブリケーションが社会に与える影響を考えてみたい。
-- 目次 --
まえがき
本書の焦点について
第1章 3Dプリンタの利用形態
1-1 デスクトップ型
1-2 ショップ型
1-3 工場型
第2章 3Dプリンタによるものづくりのメリットとデメリット
2-1 メリット
2-1-1: 特殊な物品の製造
2-1-2: 製品のカスタマイズ
2-1-3: 時間と場所に依存しない製造
2-1-4: ビジネスの効率化
2-1-5: 環境問題への貢献
2-1-6: 新たなビジネスの創出
2-2 デメリット
2-2-1: 危険な物品の製造
2-2-2: 製造物責任をめぐる混乱
2-2-3: 製造現場での混乱
2-2-4: 輸送業の混乱
2-2-5: 雇用へのプラス/マイナス効果
第3章 3Dプリンタの社会的影響
3-1 知的財産権
3-2 製造物の規制
3-3 製造物責任
3-4 標準化
3-5 素材の進化
3-6 関連インフラの整備
あとがき
補足コラム(随時アップデート中:最終更新2012年12月3日)
注
-- 分量 --
日本語 約3万1000字(補足コラムを除く)
-- 著者プロフィール --
小林 啓倫(こばやし あきひと)
株式会社日立コンサルティング 経営コンサルタント。1973年東京都生まれ。獨協大学卒、筑波大学大学院修士課程修了。
システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業を経て、2005年から現職。著者に『災害とソーシャルメディア』(マイナビ)、訳書に『ウェブはグループで進化する』(日経BP)など多数。個人ブログ「POLAR BEAR BLOG」は2011年度のアルファブロガー・アワードを受賞している。