素晴らしい!
★★★★★
これほど美しい文章を書いた谷崎潤一郎もすごいけれど、それを的確に翻訳したEdward G. Seidenstickerも本当にすごいと、ただただ感心いたしました。
日本語で細雪を読んで以来、これに凌ぐ作品は最近目にしたことがありません。
それをまた英語でもう一度読むと、改めて日本文化やましてその心が見えてくる気がします。
日本にいる一人の外国人として、このような翻訳がもっと行われることを心から願っております。
そして最後に谷崎文学を世界に広めてくれたEdward G. Seidenstickerに感謝したいと思いますので☆☆☆☆☆五つです!
<古さ>を消し去る翻訳の魔力
★★★★★
現役作家では谷崎潤一郎級(或いは三島由紀夫級)の人間が一人もおらず、しかも状況は(例えば、流行の低俗ホラー・サスペンス界からは救い難い連中が次々と現れては消えていくというように)悪化する一方なので、本作のような傑作が、目が高い英語圏で絶えることなく刷り直されるという状況にはただただ感激するばかりです。本作を書くに当たり谷崎は各接続詞を意図的に<連続化>したと言われているだけに英訳作業は困難を極めたと思われますが、E.G.Seidenstickerは見事な職人芸を披露してくれました。更に(恐らくSeidensticker自身はそれを意図したわけではないと思うのですが)英訳版では原著の<古さ>が殆ど消えているので読みやすくなっているというのも一つの事実です。
4姉妹の物語
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日本では細雪として映画や舞台でも目にする谷崎潤一郎の名作。大阪の裕福な四姉妹の物語を、いき遅れた三女ゆきこが嫁ぐまでを軸として描く。谷崎作品のなかではマイルドですが、それでもなかなかオルタネティブなセンスがゆったりとしたクラシカルな日本の情景の中でことさら際立っているところが、この作品の素晴らしい所です。英語で読むのもオススメです。