荒くれ者の生き様を詩的に描いた作品
★☆☆☆☆
スリランカ出身の作家,マイケル・オンダーチェがカナダで発表した小説。
断片をパッチワークのように接ぎ合わせた奇抜な作風だが、一応は小説の部類に入るはず。
ブッカー賞を受賞し、映画化された代表作『イギリス人の患者』が作者の穏やかな面を表した作品だとしたら、本作にはもう一方の烈しい面が表れている。
スケールや完成度では前者に見劣りするが、後者も荒削りながら異彩を放っており、作品として不出来というわけではない。
いささか混沌とした印象は否めないが、アウトロー的な生き様や、詩的な作風に抗いがたい魅力を感じる読者には合うかもしれない。