前版（第一版）より格段に内容が濃くなり、しかも数多くの最新の情報が追加されている。分散システムにおける一般的なアーキテクチャ、設計、テクニック／アルゴリズムを説明し、それが具体的なシステムでどう使われているかが非常に分かりやすく説明されている。紹介されている具体的なシステムとしては、Webサーバファーム、PlanetLab、Google File System (GFS)、Akamai、NFS、CORBA、MOM (Messaging-Oriented Middleware)、Java RMI、モバイルエージェント等々多岐に渡る。個々のトピックについては詳細までは説明されていないが、リファレンスが豊富に添付されているので、それを読むことで知識を拡充できる。この本を読んで、引用されているリファレンスを読みこむと、分散システムのエキスパートになれるはず。久しぶりに興奮させられた本。

分散コンピューティングというとCORBAなどを想像する人が多いと思いますが、この本は基本的な理論について包括的に議論しています。
ネットワークを介した、暗号、認証、トランザクション、レプリケーション、タイムスタンプ、リソースマネージメントなどが特に記憶に残っています。

分散システム／ミドルウェアの基礎事項から具体的な技術や製品での実装例まで、包括的に理解するには、これ以上のテキストはないでしょう。タネンバウムの他の本同様に、図が豊富で、説明は平易でわかりやすいです。私には特に、レプリケーション、フォールト・トレランス、セキュリティの章が有益でした。具体的な技術や製品のレビューとしては、CORBA、DCOM、GLOBE、NFS、CODA、Plan9、XFS、WWW、Notes、TIB/Rendezvous、JINI、JavaSpacesが取り上げられています。