インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

「死」を子どもに教える (中公新書ラクレ)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
Amazon.co.jpで確認
いのち、生と死は、教育の内容になじまない。 ★☆☆☆☆
Death Educationについての書物。人類は、人は死んだらどうなってしまうのだろう、魂はどうなってしまうのかという問いかけを何千年も受け継いできた。それを考え続けることからいのちを大切にするという姿勢も生まれる。死を「教え導く」資質をもった人間などこの世に存在するのだろうか。もしもいたとして、一体死とは何だと教えるのだろうか。そんな疑問がわいてきた。死という神秘を「教え導く」ことができるという傲慢さ・自己満足・独善的態度はいかがなものか。死に対する冒涜以外の何物でもない。死の前では、人間はもっと謙虚になるべきである。東京大学大学院21世紀COEプログラム「死生学の構築」(拠点リーダー:島薗進教授)の成果を生かすならば、Death studies あるいは Death And Life Studies と考えるべきであるう。東海大学教授近藤卓氏が主催する「子供といのちの教育研究会」と袂を分かつ内容である。
(取材・構成:学びの場.comより)「子どもといのちの教育研究会」会長で東海大学文学部教授の近藤卓先生は「いのちの教育」の目的や意味をこう話す。「いのちの教育の目的を一言で表すならば、『世界の平和を目指す』ことなのです。こう言い切ってしまうことは、とても勇気のいる行為ですが・・・。この『いのちの教育』は、『死への準備教育』ではありません。『準備』という言葉は、何かをスタートすることを意味します。『死」はスタートではなく終点ですので、『死への準備』は必要ないと考えます。ですから、『死を通して生を考える』とか、『死を意識して命の大切さを確認する』ということはしたくありません。小さな子どもが楽しく遊び、明るく前向きに充実して生きているのは、『死を意識している』からではないと思います。生きていることそのものが楽しく価値あることだからです。そんな子どものような『いのち』を大切にしたいのです」 死、つまり終わる時はある時、突然起こるもの。だから「死」という言葉を避け、「生」に執着する。この近藤先生の考えに疑問を持つ方もいるかもしれないが、まだ幼い子どもたちの多くは「身近な死」を経験したことがないだろう。そんな子どもたちに「死」を通して考えさせるのではなく、まずは、楽しく健やかな自らの「生」を実感して欲しい。「生」は価値あるもの=毎日には価値がある大切なものだと気づいてもらえれば、自分のいのちを大切にし、無駄にするようなことはなく、さらには他者のいのちをも大切に思うことができるのではないだろうかと考えているのだ。
「死への準備教育」入門書です−教育関係者は是非! ★★★★★
 優しくわかり易く書かれたデス・エデュケーションの入門書。実践する中学校教師を軸に、指導者の側が学ぶきっかけ、学んだ内容・背景、授業を行うに当たっての準備、実践課程、フォローやフィードバックの状態等、極めて丁寧に紹介されているので、読み易い本である。
 題名だけ見てしり込みをする人がいるかもしれないが、身近に死を捉える事が少ないまま歳を取り中年になり、親の死・自分の死を意識するようになった世代にもお勧めの本である。自らの死を学びの目で見直すとき、おのずと死をどのように伝えたいか、受け止めたいかという問題を考えざるを得ないからである。
 何よりも、先進国の中で唯一HIV患者が増加している日本、子どもの自殺やゲーム的な衝動殺人が多いわが国で、子どもに自分が生まれてきた背景となるものをしっかり教えることは重要である。性教育から始まって、命の始まりの感動と命の輝きの終焉が把握できるように考えられたカリキュラムは、一読に値する。
 親も教師も、そして医療関係者も連携して、社会全体が子供を教育する観点で、この取り組みの記録を読んで欲しい。
「まっとう」な授業の力 ★★★★★
私は、最近の子どもにとって、「死」は身近なものなのかもしれないと思っていた。それは、残念ながら「悪い意味で」である。私はスクールカウンセラーという仕事柄、思春期の子どもたちの話を聞くことが多いのだが、彼らはごく普通に「死ね!」と言ったり「死にたい」と言う。実際にリストカットなど自分を傷つけたり、薬を大量に飲んだりする。先日、ある社会学の教授の講演を聴いたが、自分に価値を見いだせず、生きることに苦痛を感じているのは、被虐待児と呼ばれる子どもだけでなく、一般の子ども達の中にも確実に増えているということであった。
そんな、絶望的とも思える状況の中で、本書に取り上げられている中学校の教師は、驚くほど「まっとうな」やり方で子ども達に「死」を教えている。私は同じ子どもに関わる者として、その「まっとうさ」に嫉妬すら覚えた。「死」の授業を通して、子ども達は自分の存在の大切さ、生きていることの素晴らしさを実感として学んでいく。リストカットを繰り返していた子どもが、「死」の授業を通して、リストカットをやめ、その後も元気に暮らしているというエピソードは、彼の授業の「まっとうさ」が本物であり、また子どもの健康的な部分を信じることの大切さを物語っているように思える。私たち大人が、子どもに対して何を示していけるのか、本書からは多くのヒントがもらえるはずである。
何歳から「死」と向かい合えばよいのか ★★★★★
この本はある小学校教師の試みをベースに、書かれている。しかしながら、現実問題として、我々は、生まれた瞬間から「死」に向かっているのは事実である。現代医療の発達で身近に「死」に直面する機会は減っている。誰でもが必ず経験する「死」。しかし、経験談を聞くことはできない。
この試みは、小学生に対し、「死」に対して自然に理解させ、そのことにより、逆に「生きる」ということを真剣に考えさせる機会を与えている。
「死」を語るには誰にとってもタイミングが大切であるが、では、いつ、どのように向かい始めるのが良いものなのだろうか、と考えさせられる。年齢に関係なく、お勧めの一冊である。
人は死んでも生き返る? ★★★★★
「人は死んだら生き返らない」。こんな事は常識だと思っていたが、本書によると、小学生へのアンケートで、三分の一の子どもが、「生き返る」と答えたという。この数字に愕然とした。「死」というのは個人的なことだから、学校という場で教師から教わるのはどうも…と思っていたが、事態はそんな悠長な事を言っていられないところまで来ているらしい。本書の中に出てくるような、「死の授業」に取り組む真摯で熱心な教師が日本中に何人いるのかわからないが、これ以上子どもの自殺や殺人をニュースで聞かなくてすむよう、一人でも多く、「死の授業」に取り組む人が増えてほしい。大人が考えさせられる本だった。