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永遠の少年―『星の王子さま』 大人になれない心の深層 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥2,353
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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ユング心理学の見本(良くも悪くも) ★★☆☆☆
 フランツはユング最晩年の女弟子であるが、両者の関係はかなり奇妙だ。ユングは湖のほとりに塔のある家を建てた。ユングはフランツにその塔を見下ろすような位置に、同じく塔のある家を建てさせた。この位置関係の心理的意味は注目に値する。
 フランツはユング研究所の創立者の一人であり、大きな影響力を保持していた。近年、ユング研究所は二度分裂したが、一度目の分裂はフランツの影響の濃い「保守派」が変革を嫌って離脱したものであるという話を聞いたことがある。この本はフランツの講義の形式をとっているが、聴衆(あるいは学生)とのやりとりは押し付けがましく、議論の展開もユング派独特の強引さに満ちており、確かに「ユング原理主義者」を生み出す危険な匂いに満ちている。本の写真を見ると、典型的なドイツ風の怖いおばさんで、決して分析を受けたくはならない。
 とはいえ、ときおり鋭い指摘が見られ、サン=テジュペリおよびその同類の精神的問題を理解する手がかりにはなる。「星の王子さま」を読んで気持ちが悪くなった人には、それを解毒する助けになろう。もっとも、フランツの議論を真面目に受け取ると、もっと気持ちが悪くなるであろうから、話半分に聞いたほうがよい。
 良くも悪くも、ユング心理学の手法の見本である。私には「悪く」のほうが強く感じられるとしても。
大人ってなに? ★★★★☆
20数年ぶりにマリア・ルイーズ・フォン・フランツ女史の「永遠の少年〜大人になれない心の深層」を文庫で見つけたので再読している(底本のタイトルは少しちがっていた)。
たぶん再々読だと思うが、以前、多くのこころある男性が「痛い」思いをした、有名な、容赦ない星の王子さまの分析。だが、やはり反撥も強かったらしい。しかし反撥者にはその反応自体をまたするどく突かれるというしろものだ。
そういうわけで、どこまでも痛そうな読み物なのだが、まあ未だにぼくはなんとか生きてます、という感じか。
それにしても、ここで言われる「大人になる」とは、ユング心理学的には「個性化」「自己実現」を意味しているのだから、男女関わらず、誰しも人のことを笑ってはいられないものなのだ。

記憶していたことで、この本にあったのかと見つけた部分にこんな話がある。

ふたりの永遠の少年タイプが、フロイト派とユング派の分析治療をたがいに別々に受けてみた。
やがて、再会したふたりはおたがいの経過について会話する。
フロイト派の治療を受けた青年は、すっかり社会に適応し始め、自分の幼児性も克服し順調にいきつつあるという。これからどうするのかと尋ねると、いずれお金をかせいで結婚するつもりだ。と言う。
ひきかえ、ユング派の治療を受けていた青年はさっぱり変化がみられない。未だに方向が見えない。
しかしフロイト派の治療を受けていた青年は、こう言う。

「なんてことだ ! 分析家たちは悪魔も追い払ってくれたけれど、一緒にぼくのなかの天使まで追い払ってしまった」
『星の王子さま』の深層 ★★★★★
 本作は紀伊国屋書店から出版された『永遠の少年』の文庫版である。
 著者はユング愛弟子であるフォン・フランツ。おとぎ話研究の大家である彼女は的確かつ辛らつに『星の王子さま』の深層を明らかにしている。彼女の分析から『星の王子さま』がただの「童話」ではないことが読み取れると思う。
 なおフォン・フランツの邦訳はほとんど絶版になっておりこの度の文庫化は非常に喜ばしいことである。
 ユング心理学に興味のある方はユングの著作だけでなくフォン・フランツやエーリッヒ・ノイマン(彼もユングの高弟である)の著作にも触れてほしい。