昭和10年代生まれの私の両親が、この写真集をみて「昔の情景そのものが再現されてる！懐かしい！」と声をあげて感動していました。昭和40年代生まれの私はその当時の情景を知らないけれど、石井さん作の人形達の生き生きとした表情に魅せられ、見ているだけで思わず笑ってしまったり、温かい気持ちになってしまうから不思議です。実際の自然界の中で山や空、太陽の木漏れ日等を背景に撮影されているため、人形達のぬくもりが更によく伝わってきます。ただ１つ残念なのが、見開きページにまたがっている写真が数枚あり、せっかくの1枚の作品が少々見づらいものがあること。でも、石井美千子さんの作品のすばらしさを是非ご覧になってみてほしい！と思います。

石井美千子の人形が見せてくれる昭和の風景は、すでに失われてしまったものだ。しかし、我々世代の原風景として、これらは胸に焼きついている。昔の遊び、服装、家族のあり方、それらを眺めていると、いかに多くのものを我々が持っていたのか、また、失ってしまったのかが良く分かる。