釜をかけ、お茶を点てるためにはなくてはならない灰と炭。
けれど、実際にはお稽古場でその扱い(特に灰について)を習うことはほとんどないのが現実です。
今までお稽古場で他人事のようにお点前の稽古だけをしていたのですが、一服のお茶を点てるための準備がどれほど大変か、ということをこの一冊で思い知りました。
そして灰と炭のことを知ることで、俄然お茶というものが面白く感じられ、茶室はなくとも火鉢を用意し、灰と炭をそろえて火を熾し、鉄瓶で湯を沸かしてみるとその楽しさに夢中になりました。
自宅で釜をかけることなんてないけど、という方にも是非一読をお薦めします。別の面からお茶の深さを知ることができると思います。
もちろん自宅で釜をかけてお茶を楽しんでおられるベテランの方にも、様々な灰形をつくるプロセスや年間を通じての灰の作り方などが綺麗な写真でわかりやすく説明されていますので、色々役に立つのではと思います。
まったくと言っていいほど灰と炭に縁のなくなった現代となっては、お茶が一段階身近になるありがたい本です。