Mathematicaを使いながら量子物理を学べる一石二鳥ともいえる本。固体物理などの分野を含んでいるため、量子力学ではなく量子物理という題名にしたという。この本は量子統計力学や相対論的量子力学まで概説しているので、かなり幅広い分野をカバーしている。ただ、Mathematicaを使うことを念頭に置いているので、通常の量子力学のテキストのように式の導出や複雑な証明など深く突っ込んだ内容はなく、量子物理の各分野の概説にとどまっている。
初学者を対象にしているため、説明が丁寧である。Mathematicaの説明も、Mathematicaはまったく初めてという人でも十分に理解できる内容である。付属のCD-ROMに本の中に書かれている数式プログラムが収められているが、CD-ROMは使わないで、最初は丸写しで実際に自分の手で数式を打ち込んだ方が技術が身に付く。