事実の断片に触れるのに最適
★★★★☆
本書は、アフリカ諸国の一部で起きた「事実」を知りたい人に最適の本である。
元記者による優れた文章の中、
実際に見聞きしたことが記述されているからである。
読んでいると、はっきりと描写が脳裏に浮かんできて、本書にのめりこんでいくに違いない。
残念ながら報道にもれた事実が、こうしてきちんと日本に持ち帰られて、
共有に至る点に、本書の重みがあると考える。
もっとも、記事にならなかった部分の寄せ集めということもあり、
事実の羅列にすぎない印象も受ける。
アフリカ諸国の抱える諸問題の体系的理解、歴史的な流れ、打開策の考察等をしたい場合には、
それらを行う前のとっかかりとして読むことをお勧めする。
アフリカの市民が貧困層から抜け出すのは遠い
★★★★★
アフリカの最近の動向を伝える新書。今夏W杯を開催する南アフリカ共和国の動向に特に注意して目を通した。
黒人による政権(与党アフリカ民族会議:ANC)の樹立を契機として、差別に苦しんできた黒人が貧困から脱出すると思われたが、今現在も同国に歴然と差別と貧困がはこびっている。黒人居住区ソウェトでは、未だ水道と電気のない生活を強いられている。ANC幹部による腐敗、やる気のなさが原因である、と指摘する声があるという。
南アフリカ以外の国への中国進出が著しい。主に福建省の人間が入植しているというが、アフリカ諸国の政権中枢に如何に食い込み、如何にアフリカの人々を食い物にしているかについて、懇切丁寧な解説が加えられている。
「そうだったのか! 池上彰の学べるニュース学べるニュース」(テレビ朝日)でも、アフリカのレアメタル争奪戦を如何に中国が展開しているかについて解説が加えられていた。興味のある方は是非手に取って読んで頂きたいと思う。
確かに暗部はあるのだが
★★★☆☆
取り残された最後の市場と喧伝されるが、その内実は、腐敗や部族間抗争により、国としての体をなして
おらず、先進国の監視や働きかけがまだまだ必要という内容。サッカーワールドカップを控えて、明るい
側面ばかりが強調されるが、暗部をしっかり見据えて、掘り起こし、光を当てている。
しかしながら、新書として上梓する程の内容なのだろうか?と不思議に思う。どこかで、聞いたような
話のオンパレードで目新しくもない。新聞のコラム向きとでも言おうか。。また、あまぞんへの賽銭に
なってしまったような。
私は朝日新聞社が大嫌い。
★★★★★
◆「はじめに」で、著者はアフリカの国歌を大きく4つにわけている。
1)政府が順調に国作りを進めている国家。ボツワナぐらいしか該当しない。
2)政府に国作りの意欲はあるが、運営手腕が未熟なため進度が遅い国家。ガーナ、ウガンダ、マラウィなど10ヵ国程度
3)政府幹部が利権を追い求め、国作りが送れている国家。ケニアや南アフリカなど多くのアフリカ国家が該当。
4)指導者が利権にしか関心を持たず、国作りなどはじめから考えていない国家。ジンバブエ、アンゴラ、スーダン、ナイジェリア、赤道ギニアなど。ソマリアやシエラレオネはこのカテゴリーの中でも極端な崩壊国家としている。
◆国連関係者などが、利権を追い求める国家指導者に腐敗を指摘すると、「レイシズム=人種差別だ」と言い返されてしまう。著者松本仁一氏も、2002年にナイジェリア政府の腐敗を外務省主催の会議で報告したら、アフリカ関係者から「それはレイシズムだ」といわれてしまったそうである。
◆本書は、ジンバブエの経済崩壊の理由、南アフリカの犯罪増加、アフリカに巣くう中国人、国を逃げ出しパリに行くアフリカ人、そういう状況下でありながら生きるために知恵を絞る人たち、アフリカの成功例などが、問題点を広げすぎず的確に、かつ分かり易い文章で書かれている。
◆著者は朝日新聞の元記者で、2007年12月に定年退職したらしい。こういう記者を辞めさせてしまうなんて、朝日新聞はまたひとつダメ新聞社へ転落していくのだろうなあ(定年退職だからしゃーないんだろうけどさ)
ジンバブエ、南アフリカ、ケニア、ウガンダ、セネガル。
★★★★★
ジンバブエ、南アフリカ、ケニア、ウガンダ、セネガル。
パリ、歌舞伎町でのアフリカ人についての報告もある。
「レイシスト」とは何であるかの説明がわかりにくい。
産業や生活の記述があるが、方向性が見えない。