Is Strategic Studies obsolete?
★★★★★
冷戦後いわゆる「戦略研究」と呼ばれる国際政治のサブディシプリンの意義が問われている。このテキストは核拡散等の「黄金期」の問題から、人道的介入やテロリズム等の近年表出してきた問題まで幅広いトピックをカバーしていて、戦略研究の有効性を説いている。著作人もBaylis, Gray, Freedman等「黄金期」を支えたラインナップ。BaylisにとってはContemporary Strategyの続編という位置づけ、Grayにとっては単著のModern Strategyとの比較という視点で読むとおもしろい。残念ながら、日本の著作物ではこのような理論的なテキストが皆無に近く、戦略研究と耳にすると「軍隊」のような一種の「危ないイメージ」が常に付きまとうが、このテキストで紹介されているものは国際政治を理解する為には必須であり、我々の持っている既存のイメージを払拭してくれる。