過酷すぎる。
★★★★★
医師には労働基準法は適用されないのか?
読んでみると、医師の当直は過酷すぎるということがわかった。普通、当直をしたら翌日は休みだと思うのだが、医師たちはまず日中外来、それから夜、当直をして、それからまた翌日の日中外来に当たると言う。ほとんど眠れず、下手すると連続40時間以上の勤務になる。ほとんど意識朦朧で外来、処置、手術ということもあるらしい。それで医療事故をなくせと言うのは不可能だ。訴訟の多い産婦人科、小児科、外科などに入局しなくなるのは当然。そして、医師の自殺、突然死が多くなるのも当然。医師は人間なのだから。
実際に通院して数人の医師に聞いたことがあるが、昼休みを取ることもなく外来を続けることはざらだという。
現場の医師の負担を減らすことが絶対に必要だと思う。
救命救急の不必要なコンビニ受診には保険外の別料金を取るとか。それだけでずいぶん夜間の気楽な受診は減る。
医療訴訟の問題も、以前よりもアメリカ的な社会になってきたのか、これで訴訟を起こすのか?!と疑問に思う事例もニュースなどで度々見かける。
医師はいまや高給取りの仕事ではなくて3K以上にきつい仕事になっていると思う。
医療従事者を労働者とみる事が、医師・病院・患者のメリットにつながる
★★★★☆
医師不足による医師の過労死が、最近やっと顕在化してきた。 医局支配システムの中で隠されてきたものが、ようやく自由に医師が、診療科・病院を選べるようになり、表面に出て来た訳だが、これにより宿直の後、日勤を続けるなど35H連続勤務のようなハードな勤務が、月に何度もあり、酩酊状態に近い体調で診療を続けている実態も明らかになってきた。
その上、無過失保障制度が取り入れられていないので、民事・刑事裁判で鑑定の難しさによる不平等な判決を出され、責任を問われることもあり、医療過誤に関する保険や訴訟費用もバカにならず、いずれそれらは、資料報酬に上乗せせざるを得ない状況にもある。
本書では触れられていないが、それ以前に、既に訴訟予防の“防衛医療”を行っている医師も多かろう。
帝王切開率が増えているのもそれ故だし、“よきサマリア人法”が明文化されていない以上、乗り物内での緊急患者発生時、その場に居合わせた医師が、医師と名乗り出、応急処置をしてくれるかどうかも疑わしいのが現状だ。
患者側もコンビニ医療を慎み、病院側も大阪・厚生年金病院のような余裕ある医師確保に努め、厚労省は、今の現場にツケを回すシステムを早く変えなければ、日本の医療は益々荒んでいかざるをえない。
医療の実態
★★★★☆
医師不足は切実な、また身近な問題として危機感を覚えている。
娘が通う病院でも、重い症例の多い科の医師の人数が目に見えて減ってきている。
もっと費用負担しますから、「お願いですからやめないでください先生」と言う気持ちになる。
特にニュース等の最近話題にのぼる産婦人科医の不足。
実は、分娩あたりの産婦人科医の人数は減っていないのだという。
それでは何が問題化というと、出産の高齢化に伴う分娩のハイリスク化。
40歳を超える出産も珍しくない現在、一例ごとの分娩が以前にも増して医師のエネルギーを奪うことになっている。
それに加えて、医局制度の弱体化。
大学病院を頂点とする、関連病院への医師派遣機能が低下してしまったが故の医師不足も背景にはある。
医師の当直明けの外来診察などがあることは知っていたが、当直が無給で行われていることは初めて知った。
当直からくる肉体疲労に加えて、無給であるため他の病院でのアルバイトが必要になる。
この制度の改正のために研修制度を取り入れたものの、現在のところうまく機能しているとは言いがたい。
ここはひとつ、制度変更を行った厚生労働省に考えてもらうのは当然として、我々国民も世界に誇る「国民皆保険制度」の維持のために、医療費の抑制と適切な医療費の上昇には理解を示さなければならないのだと思う。
読みやすく、為になる。
★★★★☆
シンポジウム「なくそう!医師の過労死」(2007年11月14日)を元にまとめられたもの。
「ノーフォールト」の岡井崇先生、小児科医、弁護士2名、ジャーナリスト1名の共著。
医療崩壊を、医師の過労という角度から検証して行く。
ほぼ全ての勤務医は労働基準法違反であるが、今一斉に禁止してしまえば医療現場は崩壊してしまう。医師の過酷な勤務状況から、医療問題を考える入門書的好著。