中級ミクロの演習書
★★★★☆
この本は,ラグランジュと二階の条件(ヘッセ行列とか)さえ理解していれば最後まで読み通せます。つまり、学部上級ミクロの解説・演習書です。テキストとしては不向きで、演習書として使うのがベストでしょう。ちやんと鉛筆を手に取り、数式を一行一行実際に書いて、ゴリゴリ読み進んでいけば、かなり力がつきます。ただ、話題が少ないのが残念で、国Ⅰ試験対策には物足りず、他の上級公務員試験対策には難しすぎで、中途半端です。ゲーム理論もわずかだけしかありません。
しかし、こういった、例題で学ぶタイプのテキストの中では、レベルが高い方なので、とにかく演習をやりたくて仕方ない人にはけっこうオススメです。計算問題だけでなく,記述,正誤問題もあるので,語句の定義や概念をしっかり学びましょう。競争均衡やパレート最適の定義を言えますか?その前に,均衡て何ですか?「需要と供給が一致する点」なんて答えてはいけませんよ(笑)意外に,分かってるようで分からない人や,イメージでしか覚えていない人が多いです。
個人的には、プリンシパル=エージェント・モデルの展開が見事だと感じました。単純な生産関数(モデル)から、この分野の重要な結果をいくつか導出しています(所詮,経済学とはそのように単純なモデルから生まれたものばかりですが…。)