時代背景から軍事理論の成り立ちを探る研究書
★★★★☆
本書は、手に取ったらその厚さにびっくりします。外見だけでなく、その内容も、マキャベリからポスト冷戦時代までの著名な軍事理論を取り上げ解説した研究書です。
同じような本は何冊も出ていますが、本書のユニークな点は、軍事理論が生まれるには、その時代の影響を受けているに違いないという観点で書かれていることです。その時代の影響は、軍事理論によりさまざまです。文化的な背景もありますし、その時代に流行していた思想、哲学の場合もあります。
このような観点から著名な軍事理論を再評価しているため、今まで、皆さんが抱いていた、なぜ、この時代にこのような軍事理論が生まれたのか、という疑問に1つの答えを提示してくれるかもしれません。そのような素晴らしい内容なのに、なぜ、星4つかといいますと、軍事知識だけでなく、手元に哲学辞典や文学辞典があったほうが、より理解しやすいからです。しかし、その手間をかける価値のある本です。