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Firms, Contracts, and Financial Structures (Clarendon Lectures in Economics)

価格: ¥4,149
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Oxford Univ Pr (Sd)
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既に古典 ★★★★☆
既にレビューされているので中身自体の言及はおいておきます。
学者向け。
特に契約理論のなんらかの文献に取り組んだことがあり、経済学における企業の分析に関してもある程度知っている方でないと大変かと思います。
MBAでOrganizational Economicsという分野もあるわけですし、実務に応用ができるのかもしれませんが、実務家の方にこの本は不向きだと言えます。

言うまでもなくproperty rights approach、もしくはincomplete contractsの議論です。
Grossman&HartやHart&Moore(1990)をより初歩的な面から紹介してくれているということで、その2つを読んでわからなければ読んでみるといいと思います。
ただ既に古典として扱われている本でもあります。
例えばMaskin&Tirole(1999)の批判からも明らかなようにこれは企業の理論の一部で、この理論だけを抑えておけばいいというわけでもありません。
Hart&Moore(2008)もその批判を受け止めて、現在は契約の不完備性という面では同じですが、中身は大分違う理論を展開しています。
大分整理された議論でもあり、この本を基に勉強するのはお勧めできません。
もし不完備契約について勉強したいのであればBolton&Dewatripont(2005)のContract Theoryの後半部分が一番いいかと思います。

ただ不完備契約とはなぜ出てきたのかという点や、論文中であまり言及できなかった細かい点に言及されていますし(それが余計難解にしているわけですが)、古典としては十分価値のある本です。
経済学における組織の分析はCoase(1937)に始まり、大分枝分かれしてきていますが、不完備契約はその中でも重要な分野の一つであることは間違いありません。
あとなんだかんだ言って企業の存在に興味がある人には面白いかと思います。
一見難しそうな数学使っていますが、落ち着いて読めばそんなに難しくないですし。
ただ既に古典であるということだけ注意が必要です。
学者向けです。 ★★★★★
会社とは何か、この疑問に取り組んだ本だ。

エージェンシー理論では会社と会社の境界がどこにあるかはっきりしないし、会社内で監視したほうが会社外から監視されるよりも安上がりになる理由も述べられない。

契約を書くことそれ自体にコストがかかることを強調した取引費用経済学でも、ひとつの会社にまとめたときにホールドアップ問題がなぜ解決されるかは説明していない。

一方Grossman&Hart(1988)やHart&Moore(1990)が提唱する所有権アプローチでは、「契約が不完備なときには、そこで決められていないものについては所有者は好きに使う権利(residual control right)を持っている」という発想からスタートする。会社を人(経営能力みたいなものか)とモノ(機械とか労働とか)にわけて、より上手に使える人に任せるということになれば二つの会社は合併するし、そうでないときは独立であるということになる。こうして会社の境界が示されることになった。

後半部はより実務的になっている。経営者がサボったりロクでもないことに投資したりといったことを防ぐため、債権契約が結ばれることを示している。倒産のさせ方を語る章では、会社が倒産した際に「何をすべきか」と「誰がどのくらい取るべきか」を分けて論じなくてはならないとしている。また投票の仕方を論じた章では、一株一票にするのがいかなるときに理想的かを示す。

「会社って何だろう?」という素朴な質問に答えるところから始まって、実務的な問題に解決策を与えようと努力するところで終わっている。確かに実務家には不満な点も残ろうが、学術専門書としては第一級のものではなかろうか。
Firms, Contracts, and Financial Structures ★★★★☆
Oliver Hart(ハーバード大学教授)による所有権理論についての代表的な解説書。所有権理論を実例を用いて丁寧に解説しています。今後の所有権理論の拡張的な活用の可能性を感じさせる好著だと思います。ただし、やや数学的な説明に傾斜している箇所があることが少し残念です。
日本語訳の出版が期待されます。