黒楽茶碗がひょっとしたら自分にも製作できるのではと思わせてくれる本
★★★★★
ちょっとしたきっかけがあって、本書を見るチャンスに恵まれました。120頁ちょっとの本で、A4変型(やや横長)サイズながら、全頁カラー。楽焼きの素材の説明から始まり、玉作り、ヒモ作りの手順、炉の説明、ペーパーウェイト、蚊取り線香ホルダー、カード立て、ボタン、掛け花入れ、黒楽茶碗、湯呑み、ぐい呑み、それぞれの創作手順の図解が続きます。制作過程での指や道具の使い方を初心者にも分かるように写真で追っていっており、全頁カラーの必然性が良く分かります。制作の経過を丁寧な写真と要を得た説明で、初心者にも分かりやすく解説されています。何と言っても、楽焼きの魅力がしろうとにも良く伝わって来ます。素人考えで、炉が高いのかな?と思っていると、タイムリーというべきか、一万円で出来る炉、というコラムもあります。私としては、特に「黒楽茶碗」の渋い美しさには、写真で拝見しただけで圧倒されました。芸術への入門書である本書で、有鉛楽焼釉薬の環境への負荷までしっかり考慮されて記述されている(21頁)とは、心より襟を正した芸術家という感じがして、感心しました