何より安価、信頼十分、手元にあれば困らない
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ラテン語の文法書でポピュラーなものとして、ほとんど全ての初級文法書で挙げられるのは「Gildersleeve's Latin Grammar」(最近廉価版がリリース)ですが、Allen&Greenoughも古い(1960年以前?)文法書では重要な参考書として挙げられていましたから、信頼性は十分だと思います(Gildersleeveには、専門家が明らかに誤りだと指摘している部分もいくつかあるそうです)。
何せこの値段ですから、いちいち図書館に行って文法書を引くのが面倒な方や、初級文法書だけでは不安だという方にオススメします。
この本はあくまでも文法書です。「教科書」ではありません。ラテン語を読んでいて困ったことがあった時に、リファレンスとして用いるものです。文法的な辞書みたいなものだと思ってください。
それだけに、記述も充実しています。ちょっとした文法書だと簡単にスルーされてしまったり、記述の中に埋もれてしまう情報がしっかり記されています。初級者にも役立つと思われるのは、「第三変化で完了形がsやxになるもの」「完了形でリダプリケーション(reduplication:反復)が起こるもの」などをリストにして示してくれている部分です。細かいようですが、授業でラテン語をやっていると細かい部分が意外と大切だということがわかるはずです(そのため、分かっている単語でも一度辞書で引かないといけないのです)。
教科書で「以下同例」という感じで省略されることがある重要語の格変化もしっかり示してくれますし、めったに出てこない「illic」の格変化も教えてくれる!
用例を例示した時は、英訳が必ず付属しますし、出典も明記されます。事項を説明する英文も簡単です。ただし韻律に関する項目はout of dateなので注意。