ところで、この系図には4人だけ女性が登場しています。タマル、ラハブ、ルツ、ウリアの妻(バテシバ)がそうですが、この特別扱いされている4人はどういう女性なのか、という謎解き(?)から本書ははじまります。バテシバは本名ではなくわざわざ<ウリアの妻>と記されていますが、それはどうしてなのか? 聖書に詳しい方にはお分かりかもしれませんが、そうでない方はどうぞ本書をお読みください。
面白い話題が多く登場しますが、決して興味本位に陥ることなく、かなり本格的な内容です。
個人的な感想を記しておきますと、パウロが旧約をかなり強引に、と言うより、勝手に変更している、という指摘は大変興味深く読みましたが、著者がそのパウロの思索を展開させて論じる「十字架の逆説」というご意見には、判断を保留させていただきます。