『Harry Potter and the Goblet of Fire』(邦題『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)でローリングは危険と歓喜を表裏一体に描きだしている。次々に登場するドラゴンや屋敷しもべ妖精たち、命をかけた挑戦の数々。いまや14歳となった孤児の主人公がマグルの親戚を離れてホグワーツ魔法魔術学校に戻れる日まで、残すところ2週間となっていた。そんなある晩、ハリーは不吉な夢を見て、稲妻形の傷が激しく痛みだす。彼は不安になり、人目を忍んで生きている自分の名づけ親、シリウス・ブラックに連絡を取る。幸い、今シーズン初のスポーツイベント、クィディッチ・ワールドカップを観戦できる喜びで、ハリーはヴォルデモード卿とその邪悪な手下、デス・イーターたちが殺しをたくらんでいることをしばらく忘れることができた。
さあ、巨大な透明マントを投げかけて、物語のもっと先をのぞいてみよう。すると見えてくるのはただ、「あの人」がハリーを狙って動き始めたこと、そして今年は、グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルバフ、スリザリンの間でクィディッチ・マッチが行われないということだけ。だがその代わりに、ホグワーツ校とほかの2つの魔術学校── おしゃれなボーバトンズ校と冷淡なダームストラング校── とで、3魔法使いトーナメントが開催されるという。各学校の代表に選ばれた者が3つの究極の試練に立ち向かうことになっている。はたしてハリーは幸運な挑戦者となることができるのか?
しかしクィディッチ・ファンの読者もがっかりすることはない。今回はこの最高のゲームをワールドカップのシーンで楽しむことができる。マグルに変装した10万人の魔女や魔法使いが「じゅうぶんにさびれた荒野」に集合する。ローリングはいつもと変わらぬ魔法の手さばきで細部を描き、生き生きとしたコミカルな世界をつくりあげている。突拍子もないのはたとえば観客のテント。生きたクジャクをつないだ小宮殿もあれば、塔をいくつも備えた3階建てもある。売られているスポーツグッズもすごい。「選手の名をキーキー叫ぶバラ飾り」や「本当に飛ぶファイヤーボルト(高価な最速のほうき)の小型モデル」、「得意げに手のひらの上を歩き回る、集めて楽しい有名選手の人形」などなど。
もちろん、両チームもそれぞれに強烈な個性がある。たとえば各チームのマスコット。ブルガリアチームのマスコットは、だれもかれもを魅了して一瞬のうちに自分たちの味方に引き入れる美しいヴィーラ。アイルランドチームの応援者までがたちまちヴィーラに夢中になる。しかしアイルランドも負けてはいない。大勢の小さな応援団が自ら打ち上げ花火となって舞い上がる。「レプラコーンたちは再度空中に飛び出すと、今度は巨大な手となって、フィールドの向こうのヴィーラに宣戦布告のサインを送った」
シリーズ4作目が出版されるずっと前から、ローリングはこの作品がこれまでになく暗いストーリーだと予告していた。たしかにこの作品は、読者を笑わせた次の瞬間にはかならずハリーの命を脅かし、読者を不安にさせている。物語の奥深くには危険とともにさまざまな感情が潜んでいるのだ。とはいえ、ローリングは新しい愉快なキャラクターも登場させている。たとえば、闇の魔法使いの追手、アラスター・“マッドアイ”・ムーディ。彼は年をとって妄想症になったとかならないとか。それからネタを探してホグワーツ校をゴキブリのように忙しく動きまわるリタ・スキーター(この日刊予言新聞のスクープ探し屋が愛用する「コメント速書きペン」は、純粋そのもののコメントも、脚色のひどいゴシップ記事に変えてしまう)。
強烈な印象の残るエンディングで、ローリングはいくつかのプロットを未解決のまま残し、5作目につなげている。これを読むと、ひょっとすると著者自身にもヴィーラの血が流れているのでは、という気がしてくる。彼女のペンは、彼女の世界を完璧にする魔法の杖なのかもしれない。
英・仏・独の国際色が豊か
★★★★☆
この4作目は、前の3冊に比べて分厚くなっています。734ページもあります。
物語の出だしはお馴染みの人間の叔父おばと意地悪ないとこのDudleyの家
(Dursley家)で無視され、いじめられているところから始まります。
前半の3分の1は、Quidditch World Cupが話題の中心です。
学校が始まると、今年はHogwartsでThe Triwizard Tournamentがあると
アナウンスされます。これは、3つの国の代表校が代表の一人ずつの
選手により3つの(Tri-)別々の課題をこなした得点で順位を決めます。
過去100年間実施 されていなかったこのトーナメントは参加者に何人もの
死者が出ていたために、中止されていたそうです。参加校はHogwarts(イギリス),
Beauxbatons(フランス風), Durmstrang(ドイツ風)。The Triwizard Tournament
への参加資格は17歳以上です。
ハリーはまだ14歳ですがなぜか選出されます。
仏・独の生徒の話す英語が凝っています。
フランス人からはすべてHを削除しています。thはzになっています。 例えば
It is too 'eavy, all zis 'Ogwarts food=It is too heavy, all this Hogwarts food.
Zey are saying zat zis little boy is to compete also!
前半がながーくたいくつぎみですが、最後の盛り上がりにはまりました。
本と一緒に聴けば、より楽しめる
★★★★★
Stephen Fryの朗読は、わかりやすく面白い。
ほぼ本の通りの朗読(時折単語が違うことがあるが)なので
活字を目で追いながら、耳ではStephen Fryを聴くというのも
読み進め方のひとつ。
朗読スピードもゆっくりなので、英語になじみが薄い人でも
追いやすいだろう。
とにかく楽しい仕上がりになっている。
ハリポタの世界に闇迫る
★★★☆☆
私は『ハリポタ』シリーズ第四巻を原書で読みました。この巻以降、ストーリーは長大になります。ハリー達が成長して思春期を迎え、思春期ならではの学園ドラマ(?) が描かれます。(第四巻では他校との対抗試合が行われ、他校の生徒との交流が描かれるので、学園ドラマ色が一層強くなっています。) もう一つ見逃せない点があります。元々『ハリポタ』は暗さを感じさせるファンタジーですが、この巻からは目に見えて暗さが増していきます。物語全体が禍々しさに満ち溢れています。『ハリポタ』第四巻には難点があります。物語展開のテンポがとてつもなく悪い上、余分な描写も多いので、すらすらと読めません。無駄が多くて間延びしているという印象も拭えません。登場人物同士の会話に苛々させられることも多かったです。これらの点が原因で、私は読んでいる途中である種の疲れを感じました。また、登場人物の数が多いので、時々混乱します。ともあれ、私は必死で最後まで読みました。謎解き、物語の核心に迫る記述、ハリーを狙った陰謀、ハリーの孤独な戦い、闇の勢力の動向など、私の関心を惹く要素が間違いなくあったからです。物語終盤に入ってからは、私の気分が高揚したままでした。物語に本格的な動きが生じて面白みが増すまでに、余りにも時間がかかりすぎる……そのせいで、『ハリポタ』第四巻は損していると思います。物語のボリュームが増えたから仕方ないのかもしれませんが、一巻から三巻までのテンポの良さや読みやすさが保たれていたら、嬉しかったです。) 第四巻は、良くも悪くも『ハリポタ』シリーズの転換点なのです。第四巻の評価は、『ハリポタ』シリーズの大きな変化に対する印象に左右されるでしょう。『ハリポタ』は何だかんだ言って気になるシリーズですし、第四巻を読んで損はなかったです。五巻への期待も高まりました。けれども同時に難点が目につくので、評価は星三つとします。
映画より断然面白い
★★★★☆
炎のゴブレットの映画は少々期待はずれで、それまでの作品が好きだっただけに「原作も4作目はあまり面白くないの?」と読み始めたのが原作トライのきっかけです。
やはり原作は面白い!
映画は後半の伏線を無視してどう次回作につなげるのかが謎。。。
本作品は2作目の倍のボリュームです。ペーパーバックは2分冊ではなく1冊なので5cm位の厚みに。若干背表紙が折れたりして読みづらいですかね。
ちなみに、ペーパーバックの表紙は傷みやすいので、読む前に透明なブックカバー(図書館の本みたいな、カバーフィルムというらしい)をかけてます。なかなか良いですよ。
最後は泣いちゃう;;
★★★★☆
1作目からゆ~っくりと読み進んできました。
英語にある程度の鍛錬を積んだ人でも、アメリカ英語が主流の日本の英語教育を受けている限り、ちょっと慣れない言葉や言い回しも出てきます。 おそらくヨーロッパ人ならだれでも知っているお化けの名前でも、辞書には載っていないですし、イメージが湧かなくて苦労もあります。 それだけに、お化けの説明をしているサイトを探し、自分なりにその姿を思い浮かべながら読んでいくのが、とても新鮮なのです。
ハリーの学年が上がるごとに、多少物語の難易度も上がっているのではないでしょうか? 前半はなかなか読み進めないですが、後半はやはり息もつかせぬ冒険で、また夜更かしをさせられるのです。 そして、これまでの作品同様のラスト~小出しに小出しに明らかになるハリーの両親の最期やその愛情の深さ~に泣かされます…そして、ついつい5作目に手が伸びるのです。