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だいたいで、いいじゃない。

価格: ¥1,300
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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読み始めると、止まらない ★★★★★
エヴァンゲリオン、宮崎勤、江藤淳、オウム、という主軸をなすテーマがあって、そこからAIDS、宗教、オタク、最近の若者、自殺、評論、健康とでもいったよなサブ・テーマ並び、それを取り巻く事柄や人物として、宮台真司、小林よしのり、田中康夫、村上龍、村上春樹、富田由悠季、漱石、鴎外、高橋源一郎、大江健三郎、折口信夫、柳田国男、ビートたけし、フーコー、赤軍、ガンダム、援助交際、自己啓発セミナー...などと止め処なく展開して行くお決まりのパターンである。

感心したのは、いつもの歯切れのいい吉本節もしかりだが、それ以上にこの大塚英志という評論家の物言いである。この人は1つの物や事や人から過剰と呼べるほどに深読みしていって、まったく関係のないいくつもの社会現象とそれぞれを繋げていってしまう。それが単に「あんたそりゃ考えすぎだよ」とはとても思えない説得力を持った内容なのだ。その様は間違いなく読者を圧倒させるだろうし、吉本隆明ですら「いやぁ、感心して聞いてました」とか、「いやぁ、よく分かりました」なんて言ってしまうほどの内容なのである。

しかし逆に大塚英志は過剰に発想を膨らませていってしまうため、議題とされているご当人達がいかにそれを見るか、どの程度読みが的中しているのかは謎である。しかしそでれも批評・評論という物はこのぐらいの広がりを見せてくれると感激である。この2人の対談を読んでいると、いかに自分が世の中を上っ面だけ解して、分かった気になっているのかと、ちょっとドキっとすらしてしまう。社会のこれからに根ざした問題の行く末に、何かしらのヒントになるような会話が展開されているのはちょっとスゲぇと思う。

なんとなく、啓蒙されました。
読んでいるだけで ★★★★☆
 十分面白い。戦争していることがアニメの中で当たり前になった世代の描くエヴァンゲリオン。劇場版の解釈。オウム問題から糖尿まで、サブカルチャーに言及しながらふたりの対談が進む。言ってることがよむわからん、ということもない。だけど、それでも面白かった。
だいていでいきましょう ★★★★☆
この対談は結構楽しめた。前意識が抜け落ちた無倫理性を根拠に、エヴァンゲリオンを解釈するくだりは参考になる。「戦い」や「破壊」に対する心理的抵抗が欠落し、戦争行為が既定事項として描かれているのがエヴァンゲリオンであるというのだ。そういわれてみれば、あのアニメに見られる戦闘シーンと日常の平穏との奇妙な並存は不気味ですらあり、それを政府の有事法制や国民保護法案に結びつけてみると益々不気味になる。なぜなら、後者においては何の脈絡もなく戦争行為が起こったことが前提となっているからだ。

 さらに、曖昧さを許さない昨今の風潮が、全体性を喪失したオタク的マニュアル本や攻略本、プロレスの衰退とK-1の隆盛などに関連づけて論じられる。無論吉本、大塚ともそのような傾向には否定的である。要するにやたら木にうるさくなった反面、森はさっぱり見えずじまいということで、これは現代人が自己喪失していく兆候ではないかというのである。大塚は、江藤淳だってもう少し「いい加減」に生きればよかったと、彼の死を嘆いている。一方、吉本は節々の痛みを包み隠さず表に出すような人だから、まだぴんぴんしているというわけだ。
 

純文学の危機とサブカルチャーの隆盛 ★★★★☆
この文庫には富野由悠季氏の解説がある。本文の内容は、例えばクラシックをやっている人間が聴衆を確保できなくなって演奏で食えなくなって来ている様に、純文学も危ないというところから、サブカルチャーの時代を反映してどうやって文学が生き延びていったら良いかという議論になっている。他にオウム等の新宗教や新世紀エヴァンゲリオン等のアニメについて、「死」をどうかんがえるかについて語られている。「これからはサブカルチャーの時代=大塚さんの時代ですね、大塚さんには文学がどうやったらいいかをやってもらいたいですね」という言葉を受けてか、「物語の体操」「キャラクター小説の書き方」を大塚は書いて、現在の赤字の文芸雑誌に対抗して雑誌を出している。だが、大塚は、壊れ易い身体死をどう描くか、を今回の戦争に関連して大きな問いとして立てているが、「だいたいで、いいじゃない」では、やはり吉本は死は実際にはわからないんじゃないかと言う。表現で死を描くには、吉本の「思い込み」ではパラ・イメージなり世界視線が表現に含まれなければ、ならないのだろうが、大塚はそれについて触れていない。現代詩手帖9月の吉本特集を見ても、大塚は特に吉本の考えに即すつもりは無いようだ。
「いいかげんは、いいかげんでない」 ★★★★★
 対談本として大成功である。吉本はエヴァ等、サブカルに関しては素直に聞き上手に徹している。私も吉本と同様、かような分野には疎いので、随分、目から鱗が落ちる気分を味わった。江藤淳に関しては、吉本隆明らしく想いをぶっつけ、自称、江藤淳を継承する福田和也に触れながら、戦後民主主義を継承するスタンスで大塚英志は論陣を張るが、面白いと思ったのは、思想は違っても、吉本が江藤に対する想い、大塚が福田に対する想いに共通点があり、愛情を感じている気配には、逆に思想とは何ほどのものではないのだなあと、腑に落ちた。私も「だいたいで、いいじゃない。」的人間なので、この本を薦めたい。