人間の知の基礎である
（１）読み書きの能力 「リテラシー」
（２）数え方の能力 「ニュメラシー」

本書は、コンピュータを
「上記２つの能力で人間が操作する 『文字』 『数字』 という <記号> を取り扱う機械」
と位置づけ、<記号> の歴史と <記号> を扱う道具の変遷を振り返ることでコンピュータの本質に迫る試みです。

広く浅く、さまざまな内容を取り上げているので、情報学初心者にオススメです。
雑学に近いと思われるトピックが多く、情報学エッセイとして読むのも一興かもしれません。

少々古い本ですが、他の本によくある　「無責任な未来予想」　がないので内容がさほど古びておらず、まだまだ読む価値があります。
特に、
『つまるところ 「人間のために作られた機械」 であるコンピュータを恐れたり、あるいは信仰に近い信頼を与えたりすることは危険』
などの警句は、今もって通用するのではないでしょうか。

難を付けるなら、著者はアルファベット（表音文字）に対する漢字（表意文字）有用性の主張を強くもっておられるようで、それが少々うるさすぎると感じるところがありました。主張が重要であることは理解できますし賛同もしますが。。

＊　書名に <記号> という言葉がありますが、「記号論（学）」には触れていません。念のため。