【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:宮部みゆき/著 出版社名:講談社 発行年月:2005年01月 関連キーワード:ヒグラシ 2 ひぐらし 2、 コウダンシヤ コウダンシヤ 2253 こうだんしや こうだんしや 2253、 コウダンシヤ コウダンシヤ 2253 こうだんしや こうだんしや 2253 「過去の嘘と隠し事」の目くらましに、迷って悩む平四郎。夜ごとの悪夢でおねしょをしても、必死に「謎」と向き合う弓之助。
実物の弓之助とおでこにぜひ会ってみたいもんだ。
★★★★★
宮部みゆき氏の守備範囲の広さには、ただただ感心するばかり。
「魔術はささやく」のような本格推理小説から「ブレイブ・ストーリー」に代表される純粋ファンタジー、そして本作のような時代物まで。
それらは読み物として紛れも無く一級品であり、どんなジャンルを書かせても完成度の高さは全く甲乙つけ難い。
ファンタジー物は著者の作品群の中では少ない方だけど(個人的にはぜひもっと書いて欲しい)、「ブレイブ・ストーリー」の面白さはファンタジーを専門とする作家の作品をも易々と凌駕してると僕は思う。
そんなオールラウンドプレーヤーの作家は、日本広しと言えども宮部みゆき氏ただ一人じゃなかろうか。
著者の作品で共通しているのは、表情豊かで息遣いまで感じさせる登場人物の見事な描写力だと思う。
おそらく著者は実生活においても並外れて鋭敏なセンサーで人間観察をしておられるに違いない。
さもなくば、これほどリアルでバラエティに富んだキャラクターを次々と創作できるはずがない。
本作「日暮らし」でもそれが遺憾なく発揮されていて、話の筋を追いながら登場人物たちの味わい深い個性を堪能できる。
いかにも飄々とした主人公の平四郎と、彼を取り巻く魅力あふれる市井の人々。
中でも僕が愛して止まないのは、平四郎の甥である弓之助とその親友のおでこという二人の子供達だ。
おそらく宮部氏は無類の子供好きと僕は想像するが、この子供達の描かれ方はハマッてしまうほど「愛くるしい」。
彼らが場面に登場するたびに僕は思わずニンマリとする。
本作でも宮部ワールドを存分に楽しむことができた。
ただ唯一本作で注文をつけるとすれば、犯人設定や殺意の背景に若干の強引さが感じられた点か。
ましかし、それでも僕としての評価は星5つ。
ああ、読み終えるのがもったいない。
★★★★☆
本当にその通り。
やさしい言葉でわかりやすくシンプルに綴っているのに
そのリズム感、描写力、構成力のうちにどんどん引き込まれ、
最初から最後まで心地よく、心暖まる。
根からの悪人はおらず、皆個性的で親しみを感じる人物達。
その人々の情や下町の風情にに誘われ、束の間、おおらかな善き時代に浸ることができる。
やはり著者の筆力には感動するのだ。
ミステリとしての謎解きや犯人設定には、急に折り畳んだような、無理に結んだような
何となく首を傾げたくなる感じは受けた。
登場人物を際立たせる事が、ミステリの隙間を狭くするのかもしれない。
だから、時代小説の味付けのひとつと捉えるのがいいと思う。
面白かったのに・・・
★★★☆☆
ラストまではとっても面白くて、ハラハラしながら読んだのに、納得のいかない終わり方でした。
謎解き部分は重要ではないのでは?
★★★★☆
時代小説+ミステリー=日常生活の些事から生まれては消えてゆくけれど大事なモノを気づかせる小説です。
ミステリー仕立てではあるものの、謎解きを主眼に置いていません。それよりも江戸時代の下々の人々の暮らし(まさしく、タイトルの 日暮し です!)を現代の我々の生活にも通じるささやかなモノを汲み取ってくれる、あるいは、私達に思い出させてくれる、そんな小説です。
さらに、連作短編のようになっていて、小さな細かい話しが次第に大きなひとつの流れになり、綺麗に纏まる、そう、ココで思い出されるのは「堀江 敏幸」さんの様な小説です。
堀江さん好きな方で、「どうもベストセラー作家は敬遠しがち」な方、宮部みゆきの初心者(私もですけど)にオススメ致します。
各章に「日暮し」という単語が必ず入るのですが、その入りが絶妙です。さすがというべきか、宮部みゆき!些細な人々の細かい想いをそれぞれに、綺麗に、描写します。
様々な登場人物の中に、あなたのお気に入りの人物がきっといます。三谷幸喜のドラマの様な、スティーブン・キングの小説の様な、それぞれの登場人物に作者の愛情を感じます。
群像劇が好きな方にも、オススメ致します。
江戸ものの担い手
★★★★★
宮部みゆき氏の江戸ものはすべて欠かさず読んでいますが、このシリーズは一番好きなものです。
本作は前作「ぼんくら」に比べてかなりミステリー仕立て。
とはいえ、宮部氏の得意とする、お徳さんや岡っ引きの政五郎をはじめとする「人情味溢れる市井の
人たち」の描写はバッチリです。
今回は弓之介とおでこが大活躍ですが、その分井筒の旦那と前作での主人公の一人・佐吉の影が
ちょっと薄くなったのが残念かな。
そして葵奥様が出てきたと思ったら死んじゃったのがとても残念です。
この人のお話、もっと掘り下げて書いてほしかったなぁ。
それにしても宮部氏の江戸ものは読ませる読ませる。あかんべえ然り。
現在連載中の「おまえさん」も早く単行本化してほしいと心から気になる、秀作です。
宮部氏は本当に「江戸ものの担い手」だと思う。