この、実話に基づく犯罪物語は、1980年に初めて出版された当時、わずか数週間でニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストに登場した。あれから20年あまり、ドリームワークスによる映画化をきっかけに、ふたたび出版されることになった。フランク・アバグネイルは、5年間に全米各州と26か国で、当時の価格で250万ドルもの偽造小切手を使用した。彼は、自分をパンアメリカン航空のパイロットだと偽るなど、信じられないような大胆な作り話を考え出した(世界中でコックピットに入り、操縦かんを握ることさえあった)。そのほかにも小児科医になりすまし、ジョージア州の病院で実習生の臨時監督官になったり、弁護士のふりをして州法務長官事務所のスタッフの地位を得て、コロンビア大学から盗んだ学位で大学レベルの社会学を1学期間講義した。
ところが、彼は実際には「高校中退」の学歴しか持っていなかった。現在は、偽造と文書の安全に関する専門家であるアバグネイルは、他人を演じ、人をだまし、重罪を重ねた歳月を、ユーモアと彼の気取り屋的な行為をうまく隠すことを成功させたある種の自信と共に語る。「ひかえめなことは私にとっては美徳ではなかった。当時は美徳なんてものはどうでもよかった」、と彼は書いている。実際に、彼はその行為のすべてを、強すぎる性的衝動を満たすためにおこなった―― 女を口説くためには、地位と金が必要だったのだ。彼は、困難を好み、重要な人物を演じることでふくれあがっていくエゴを愛した。
この著しく人をひきつける物語の中で語られていないのは、逮捕されたアバグネイルが5年後に釈放され、政府の不正防止プログラム作成を手伝っている事実である。つまり、もしも読者がこの詳細にわたる小切手詐欺の話からヒントを得たいと考えているなら要注意である。この名人はすでにあなたの裏をかいているからだ。(Lesley Reed, Amazon.com)
小説より奇なりとはまさにこのこと
★★★★★
映画を観てから読みましたが、映画よりずっと面白いです。
詐欺の手口や、パイロット、医者、大学教員などなど、いろいろな職業になりすますまでの過程がことこまかに書いてあるし、捕まるのではという恐怖もリアルに描かれていてとてもスリリングです。
こんな手口が本当に通るのか!と思うような手口で次々と騙していく。
これがノンフィクションだということを意識していなければ、「できすぎだ」と思ってしまうほど。
現実とはとても思えないようなエピソードが盛りだくさんで、本当に面白いです。
本当にラッキーな人なんだと思います。
FBIとニアミスとか、いろいろなエスケープもそうですけど、やっぱり最後の最後に助かった、あのエピソードは、ほんっとうーーーーーーーーーにラッキーな人なんだな、と強く思いました。羨ましい…。あそこで一歩間違っていたら、というよりかは、あそこでこうなるだろう、と思われていたようになったとしたら、本当にこの人は一生を地獄のような生活をして過ごすことになったのだろう…と思いました。
個人的には、フランスの刑務所の過酷さにすっごくびっくりしました。人権保護団体、とかは黙って見ているのでしょうか?著者、Abagnaleさんはあとから、「フランスの刑務所は正しい」と言っていますが…。まあ、言わんとするところはわからなくもないけれども。スウェーデンの刑務所にも逆の意味でびっくりしました。そういう意味でも面白かったです。
天才詐欺師の孤独
★★★★☆
銀行マン、パイロット、医師。。。
次々と華麗なる変身をとげて逃亡を続ける天才詐欺師とそれを追い続けるベテラン刑事。鮮やかなだましのテクニックも面白いですが、この本のポイントは詐欺師の内面に抱えた孤独感だと思いました。
敵対関係にありながらも心通う容疑者と刑事、というのはよくある構図かもしれませんが、楽しめました。英語も割りに平易なほうかと思います。
よろしいお手前です。
★★★★☆
20歳そこそこで、パイロットに化けたり、大学で教えたり、弁護士の免許を取ったり、もうとにかく普通の知能ではない主人公の実話です。ただし、ぺーパーバックの場合は字が細かいのでご注意を。内容はそんな感じで4星です。
実話だからこそ、おもしろい~~はまりました!
★★★★☆
はまって一気に読みました。表紙のように、中身もすごいスピード感あります。読みすすめるうちに、ここまで大胆で頭の良い主人公に憧れたり、感心したり、ちょっとムカッとしたり、はたまた女性が魅惑されるようなちょっとしたプレイボーイぶりに「こんなん言われたら。。。わたしも騙されたーい!」という気持ちにまでなってしまいました。
洋書初心者さんにも、とても読み易いのでおすすめです。ストーリーもどんどん進むし、小説のように凝った設定はまったくないので、分からなくなったところは飛ばして読んでも、大丈夫!それでも自信のない人は映画を観てから読んでみては?
純粋に楽しめました。
家族の大切さに至る壮大なペテン師の紆余曲折
★★★☆☆
各種の詐欺を働くために、猛烈に勉強している。普通だったらこれだけでも世間に通用する仕事が堅気でできそうなものだが、彼の目標はそんな小市民的な成功ではなく、愉快犯的な要素が強い。犯罪とは出来心とかよりも、もっと疾患的要素が強いことを示しています。そしてその詐欺師人生を彩る魅惑的な女性達。確かにやめられないでしょう。読んでいるほうが、詐欺がいつバレルか、はらはらどきどきして読んでしまうようでは、単なる小市民、幸か不幸か私には決して詐欺師になる能力はないようです。読んでいて、実に心臓に悪かった。しかし世にはいろいろな能力を持った人がいるものです。最後に語る家族愛はなんかとってつけたようなところがあるけど、アメリカものでは定番です。スウェーデンの収監システムは性善説溢れ、福祉国家の勇たる実情がわかりました。天才的詐欺師もこういう国では却ってやっていけないのでしょうし、ひとつのヒントになりうる気がします。