「効率のよいプログラミングとは何か?」。これは、PL/SQLに限らず、すべての言語を扱うプログラマーにとって、おそらく永遠に正解にたどり着くことのできない普遍的な問いかけであろう。
本書は、PL/SQLを使った効率の良いプログラミングについて、数多くのヒントを提供している。たとえば、VARCHAR2を使用する場合に陥りやすい問題点や、暗黙カーソルを用いる場合の欠点等を著者の経験に基づいて具体的に指摘しながら、バグが発生しにくくメンテナンスが容易なPL/SQLのプログラミング手法を解説している。これらの方法論は、これからPL/SQLでの開発に携わる初級者にはもちろん有益であり、また、PL/SQLの機能の多くを理解している上級者にも、いま一度立ち止まって自らのプログラミングを見直すよい機会を与えてくれる。
本書の原著は、『Oracle PL/SQL Programming 2nd Edition』である。邦訳出版の際に「基礎編」と「応用編」に分冊されているが、実際には「基礎編」、「応用編」を通して、ひとつのストーリーが展開されているため、この2冊を切り離すことは難しい。従って、「効率のよいプログラミング」を十分に理解するために、「基礎編」と「応用編」はセットで購入することを強くおすすめしたい。ちなみに構成は、PL/SQLを使用するにあたっての心構え(起:基礎編I部)で始まり、PL/SQLの言語機能や要素についての説明部分(承:基礎編II部~IV部)、つづいてOracle8の新機能群についての説明(転:応用編I部)、そして、本書において著者が最も重視している「効率のよいプログラミング」を作成するための方法論(結:応用編II部)で最後を締めくくっている。
「基礎編」の各部の内容は以下の通り。
I部 PL/SQLのプログラミング
PL/SQLの主な機能の紹介とともに、適切に構造化され、読みやすいプログラムを書くために、身につけるべきプログラミング習慣や効果的なコーディングスタイルについてアドバイスされている。
II部 PL/SQLの基本要素
PL/SQLの基本的な言語要素(変数、カーソル、条件と分岐制御、ループ、例外処理、PL/SQLレコード、PL/SQL表)について、サンプルコードを交えながら紹介されている。
III部 組み込み関数
PL/SQLでは多くの事前定義関数が提供されている。それらの組み込み関数(文字関数、日付関数、数値関数、変換関数)の使用方法について紹介されている。
IV部 モジュラコード
PL/SQLの構造化プログラミングについて解説されている。再利用性や信頼性の高いプログラムを作成するために、プロシージャーやパッケージ等を使用して構造化を進めることの重要性を説いている。(石井昌紀)