四姉妹それぞれの個性と絆
★★★★☆
これまで波留子、奈津子、布由子のそれぞれの物語が語られてきて、本書は三女である亜紀子の物語のはずなのですが、完結編であるせいか、四姉妹それぞれの話が交互にほぼ均等に出てきます。その結果、これまでも心なしか他の三人と比べてはっきりしなかった亜紀子のこれまでの経歴は結局あまりよく分からないままでした。しかも元恋人の運動家や政治家との関係もよく分からず、選挙に出ると言ったり出ないと言ったり、どうも消化不良な感じが否めません。
他の姉妹たちにもそれぞれの転機が訪れ、彼女たちの人生は大きく変わっていきますが、それも展開が急すぎ、さらにいろいろ詰め込みすぎになってしまった感があります。特に布由子には、病気に負けずに自分を見いだした過去があるのですから、もうちょっとこれからの道に前向きさを見せてほしかったように思います。これまでの三冊が、じっくりと三人の個性を引き出していて非常に面白かっただけに、この終わり方は少し物足りないものがありました。ただそれでも、やはりあまりにもキャラクターの違うこの四姉妹の個性、女としての生き方、そして家族の絆は最後まで興味深く、面白かったのは事実です。また続編などあれば嬉しいのですが。