マリア・マッキー7年ぶりのスタジオ・アルバムは、みずからのレーベルからの初リリース作でもある。世界的ヒットになって当然の「Show Me Heaven」のような曲を放った後、10年以上もの間こつこつと自分のためのアルバムをつくるというのは、理想的なキャリアの積み方とは思えないかもしれないが、実のところ、いつだってマッキーはポップスの歌姫というよりインディ・ロッカーと呼ぶにふさわしいアーティストだったのだ。「Show Me Heaven」は確かにいくらかの儲けにはなったが、マッキーが初期にローン・ジャスティスと共に残したすぐれた仕事を影の薄いものにしてしまうという結果も招いた。そこで『High Dive』が登場。ここでのマッキーこそ、彼女自身が見てもらいたいと望む姿――ホイットニー・ヒューストンよりもカースティ・マッコールのほうによほど近く、ひねくれていて、技巧に走らずとも親しみやすい人間味を感じさせる声を持つ優秀なシンガー・ソングライター――なのだ。『High Dive』は、凝りすぎたプロダクションが傷になってしまってはいるが、最高の部分（たとえば、思慮深くウィットに富んだタイトル・トラックや「In Your Constellation」のような臆面（おくめん）もなくローン・ジャスティス調の曲）を聴けば、マッキーが自分自身に賭けたのは正解だったことが分かる。（Andrew Mueller, Amazon.com）