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会津藩と奥羽越諸藩はなぜ戊辰戦争を戦ったのか-NHK大河ドラマ応援出版-

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
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 本書は、会津藩や奥羽越諸藩はなぜ戊辰戦争を戦ったのかという歴史の真相を、幕末の主流の政体論であった「公議政体」というキーワードを用いて明らかにするものです。

 本書の元になった論考の初出は、著者が2000年に『会津史談』第74号(会津史談会)に発表した「近代日本に於ける戊辰戦争の意味」です。
 2007年には、同論考は、著者が一部加筆修正した上で、日本ペンクラブ電子文藝館に収蔵されました。この文藝館は、日本の文学を世界に発信するために、著作権で保護された日本ペンクラブ会員(物故者含む)の代表的短編(長編の抜粋)と日本の名著をインターネット上で無料公開している電子図書館です。

 このペンクラブの電子文藝館収蔵版は多くの方に読まれてご好評を頂いています。

 今回発行した本書は、最新の歴史学の成果を踏まえて電子文藝館収蔵版を改訂し、改題した上で電子書籍向けに編集しなおしたものです。

本書の目次は次の通りです

まえがき
一 「薩長史観」と「公議政体派史観」
二 公議輿論と公議政体
三 公議政体と大政奉還
四 五箇条の御誓文と戊辰戦争
五 万国公法と戊辰戦争
六 戊辰戦争とシビリアンコントロール
七 戊辰戦争とその後の近現代史
あとがき

本書の内容について

 2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の前半の最大の山は、八重が銃を持って新政府軍と戦う籠城戦の場面でしょう。
 それでは、なぜ八重や会津藩士、会津の女性は鶴ヶ城に籠城して新政府軍と戦ったのでしょうか。

 それは、よく言われるような「徳川に忠誠を尽くした」からではありません。
 確かに、会津藩主松平容保が京都守護職就任を固辞したあげくに泣く泣く承諾したのは、藩祖保科正之の家訓・「大君〔将軍〕の義、一心大切に忠勤を存すべく」の存在のためでした。

 しかし、戊辰戦争で戦ったのは、その理由とは全く異なります。
 なぜなら、「最後の将軍」徳川慶喜は、鳥羽伏見の戦いで敗れて江戸に戻ると、会津藩主・松平容保と桑名藩主・松平定敬を登城禁止にして自身は恭順謹慎します。その時点で、慶喜のために戦う理由は消滅しているのです。

 それでは、本当は、どうして八重や会津藩は戦ったのでしょうか。
 大河ドラマでは、ドラマなりの解釈がされるでしょう。
 しかし、史実としてはどうなのだろう?それを知りたい方が多くおられるはずです。

 会津籠城戦を知るには、それが一部として戦われた戊辰戦争全体、会津藩だけでなく奥羽越諸藩も参戦した戊辰戦争とはいったい何だったのか、その意味を知る必要があります。

 内容紹介としては結論だけを述べます。

 戊辰戦争とは、大政奉還後に主流となった公議政体派に対して劣勢に陥った薩摩藩と長州藩を中心とする武力倒幕派が、新政府で権力を掌握するために引き起こした奥羽越侵略戦争であり、奥羽越諸国にとっては祖国防衛戦争にほかなりません。

 本書はそのことを論じ、日本の近代史における戊辰戦争のとてつもなく大きな意味について論じています。
 
日本ペンクラブ電子文藝館版に対する本書の主な改訂点は、
1)『会津史談』版執筆以降の学界における孝明天皇の暗殺説と病死説の論争の発展を受けて現時点の筆者なりの考察を述べたこと、
2)飯盛山における白虎隊の自刃の理由に関して最新の研究を踏まえた考察を書き加えたことです。

 本書は2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」を応援するために出版しました。
 同年のテレビ東京新春ワイド時代劇「白虎隊」をご覧になる際も予備知識としてお読み頂けます。

 ぜひご一読下さい。

著者
大越哲仁 (歴史家。新島襄・八重研究者、同志社大学同志社社史資料センター第一部門研究会員。日本ペンクラブ会員)