The Photography Book
価格: ¥4,383
本書のコンセプトは、写真500点、500ページという単純なもの。写真はアルファベット順に並び――現代のオランダ人カメラマン、ハンス・アースマンから、20世紀半ばに活躍したニューヨークのアマチュアカメラマン、ジェームズ・ヴァン・ダー・ジーまで――、それぞれに特大サイズの1ページがあてられている。各ページでは、見事に複製された大判写真に、写真や写真家の経歴に関する情報がつまった簡潔なキャプションが添えられている。時代や美的感覚の異なる写真が無作為に並んでいることで、一風変わった刺激的なコントラストが生まれ、読者の作品に対する感じ方に新たな次元が加わっている。たとえば、南カリフォルニアでビキニを着た海水浴客を写したリネケ・ダイクストラの色彩あふれる写真が、マイク・ディスファーマーが1943年に撮ったアーカンソーの田舎にすむ夫婦の肖像と並んでいる。イモジン・カニンガム独特のヌードがあるかと思えば、いっそうの驚きを誘う作品――画家デイヴィッド・ホックニーによるカラー写真コラージュ『My Mother, Bolton Abbey, Yorkshire』が現れる。対日戦勝の日にタイムズスクエアでキスをする水兵と看護婦をとらえたアルフレッド・アイゼンスタットの象徴的な写真や、ベトナムで負傷した米兵を写したラリー・バローズの歴史的な作品、ポーズを取るボディービルダーと、そのポーズをまねる少年たちを写したデイヴィッド・ラシャペルのポップな写真など、さまざまな作品を収録した本書は、まさに壮大なビジュアル百科事典といえる1冊。そのうえ、信じられないほどの低価格とくれば、写真ファンにとってこれ以上の値打ち物はないだろう。