Holdsworthフォロワーの最右翼、Alex Machacekの新譜
★★★★☆
オーストリア出身のテクニカル系ギタリスト、Alex Machacek(アレックス・マクヘイサク)による最新アルバムです。Alex Machacekはテクニカル系ギタリストの大御所、Allan Holdsworthのフォロワーとして有名ですが、実際に彼の作品を聴いてみると決して Holdsworty一辺倒ではなく、古くはFrank ZappaやSteve Vaiあたりの変態系ギタリストの系譜も汲んでいます。
さて、すでに何枚かのリーダー作をリリースしている彼ですが、リリースの度に異なった作風を聴かせてくれます。変幻自在、予測不能な芸風なのですが、今回はいたって静的でプログレッシヴな雰囲気で攻めてきました。今回の相方はMarco Minnemannというドラム奏者のみで、ほかのパートはすべてAlex Machacekがこなすといういわば「密室芸」的な作品。ウネウネと内省的なフレージングは相変わらずですが、よくもまあ、こんなヘンテコな旋律を考え出すものかといつもながら感心というか、呆れてしまいます。ギター好き、変態フュージョン好きの人にとってはたまらない作品ですが、やはり万人にお勧めできる代物とは言い難いですね。
1曲のみAlex Machacekの奥さんであるインド人ボーカリストSumitraが。また、Martin Ptakというトロンボーン奏者が3曲に参加していますが、これまた本人と同様に異彩を放っています。ふと見るとプロデューサー名に元祖・変態両手タップギタリスト、T.J.Helmerich(ヘルメリッチ)の名前を発見。ミキシングはやはりフュージョン界では有名な鍵盤楽器走者Scott Kinseyが担当。なるほど、これだけ変態好きが集まれば奇天烈な音楽に仕上がるはずです。
●Musicians
Alex Machacek / guitars,everything else
Marco Minnemann / drums
Sumitra / vocals on Sit Back and Chillax
Martin Ptak / trombone on See you there,X-Mas,At the Club