選曲に83年らしさを感じる、貴重な中国語でのコンサート・ライヴ
★★★★☆
このレビューは、私が台湾で入手したテレサ・テンのDVD5枚組みセットのディスク2が本ページのパッケージと同じコンサートを収録していたため、それを視聴した感想であることをご了解いただきたい。私が短い台湾旅行で知った限りでは、華人を聴衆としたテレサのコンサートのライヴDVDの代表作は84年台湾ライヴ及び83年と82年の香港ライヴのよう。故に、本作又はその台湾盤は中国語で行われたコンサートの貴重な記録として価値がある。淡淡幽情の冒頭の2曲が良い。本コンサートで歌われる中国語の曲はCD「テレサ・テン・メモリアル・ベスト」「淡淡幽情」「甜蜜蜜」を入手すればほぼ揃う。日本の曲ではコンサート冒頭とラストで歌う漫歩人生路(中島みゆきのひとり上手)の他に北酒場が中国語で歌われる。英語で歌い踊る曲が83年を感じさせる、Every Breath You Take、Beat It、そして映画フラッシュ・ダンスのテーマ曲。豪華なセット・リストだ。油がのりきった彼女の80年代中期の歌唱には本作でも胸を揺さぶられる。ファンとの交流もコンサート中に行われるが、その様子は見てのお楽しみ。ステージ・セット、カメラ・ワークは特に面白い点はない。編集は凡庸。
さて、台湾盤は本編66分で、うちライヴは正味60分弱。それに対し、商品説明によれば本ページのパッケージはクリップ数曲込みで収録時間51分。そうすると、台湾盤の方がライヴ・シーンは長い。そうなら、本パッケージの評価はよくて星4個だろう。映像・音(ステレオと5.1ch)のソースは同じだろうから、台湾盤の方がよりライヴの全貌に迫れる。そして上記5枚組みの中には、82年香港ライブ(音はモノラル)等もあるので、機会のある人には是非このセットの入手を薦める(ただし、上記3つのライヴの中で最高と考える(ボスの「ファイア」を歌っている!)台湾ライヴは入っていません)。