いい本
★★★★★
右ページには装丁(カバー)の写真、左ページには400字前後の解説、という構成で、たくさん(100点くらい)ならんでいる。オールカラー。
写真が大きく使ってあってさすがにシンプルで見やすい。
学生向けの講演が元になっているためか、解説の中身はだらだらした「講釈」的な感じではなく、どういう具体的な理由でどういう素材を使い、どう表現したかということが簡潔にプラグマティックに語られる。
『ナイン・ストーリーズ』の最近出た新装版の徹底的にシンプルなヴィジュアルの裏には、著者からの「意味のあるイメージを使うな」という制約と、版元からの「高い紙とか加工とかはできない」という制約があった、とか、桜沢エリカの『掌にダイヤモンド』の装丁は、大学ノートに女子高生が直接書いたような感じを出すために、ふだんから気になっていた事務所に届くある請求書の文字を書いていた人にタイトル文字を書くのをお願いした、とか、ベストセラー『陰日向に咲く』に至っては、小学生低学年の鈴木氏の息子(!)に題字を書かせたとかとかとか。
見ているだけでもかなりいいですし、装丁好きにはたまらない一冊です。