今こそ立ち上がれ公立中学校の先生たち!
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公立学校ではやれることが限定される。これは紛れもない事実です。でもそんな「やれる範囲」でここまでやることができるという報告集でした。管理職でなく「ミドルリーダー」が学校を作る時代です。同志よ、頑張りましょう!
日本の公立学校まだまだいける!
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日本の公立学校もまだまだ捨てたもんじゃないと元気をもらえる本です。12の「力のある学校」と呼ばれる、公立小学校、中学校、高校の取り組み、挑戦が数多く行ったであろう学校訪問、授業視察、学校行事への参加、地域の人たちへの聞き取りなどから丁寧に描かれています。 著者の研究テーマの中心がいわゆる「しんどい子」がたくさんいる同和推進校やニューカマーを多く抱える学校のようで、12校のほとんどはそのような背景を持っている学校です。 多くの学校は学区内に経済的あるいは社会的に厳しい地域、しんどい家庭を多くかかえていますが、そういう地域の子どもたちがもつハンデを克服し、確実に基礎学力をつけさせることに全力で取り組み、それを成功させています。
私自身関西で公立の小中高の学校を卒業し、公立の学校の教諭をした経験があり、この12の学校、特に関西の「しんどい学校」の先生方がどのような努力をされているか、朝早くから夜遅くまで走り回っておられるか、そういうことを想像すると本当に頭が下がります。 本の最後に「力のある学校」のまとめとして提示されているスクールバスに例えられた8つの要素の部分は、そのとおりだと思う一方、個々の学校、あるいは教師の良心や努力に「おんぶにだっこ」にならないようにしてほしいと感じました。 著者も一番最後のコメントとして締めくくっているように、バスはガソリンがないと動かない、ガソリンは行政の学校へのサポートであり、それがないと、あるいは十分でないと教師(スクールバスのエンジンに例えられている)のエネルギーは枯渇してしまう。
社会が変わってゆく中で、学校に対する期待は大きくなるばかりで、「あれもこれも」と学校に要求が降り掛かってきます。 この本に出てくる学校の先生方は文字通り「全力投球」で子どもたちに関わっています。 学校のエンジンである教師たちにサポートや助けの手がさしのべられられなければ、「全力投球」は長くは続けられません、投球しすぎたピッチャーのように故障したり、つぶれてしまったりするでしょう。 最後はそういうことを考えながら読みました。 関西には元気な公立学校がまだ結構あるんだということにも喜びを感じました。
教育の意味をもう一度振り返る本
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この本の中の「教育は買ったり、選んだりするものではなく、一緒につくっていくものだと思う。できあいのものを消費するものが教育なのではない。たまたまの縁で出会った者どうしが同じ場所で長い時間を過ごしていくなかで何かを作り上げていくのが、教育と言うものなのなのだろう」いう言葉がとても素敵だと思う。「しんどい子どもたち」に対する教育の意味を今こそ問い直す必要がある。