授業の質について改めて考えさせてもらいました
★★★★★
マニュアル本的な授業実践関連の書物とは異なり、学校・教室での対話をじっくりときめ細やかに捉えていて、非常に味わい深い一冊でした。
様々なシチュエーションにおける対話事例が載っていて、多様で豊かな解釈がなされています。また、専門用語もわかりやすく説明されているので、読みやすいです。教師を目指している学生さんはもちろんのこと、現職の先生方にとっても、自らの実践を振り返る感受性を養うために多くの示唆を与えてくれるのでは、と思います。
最後に、冒頭に書かれている以下の文章が、とても印象的でしたので、引用させていただきます。
「教室に入れていただくと、交わされる言葉のやわらかさや堅さ、重みや軽さ、展開の深まりや上すべり感、まとまりやばらばら感などを感じることができる。それはその課題をめぐって語られる言葉のテンポや間合い、誰に向かって語られるのか、使われる言葉が型にはまっているか、その子自身の言葉なのか、知っていることを言っただけなのか、授業中に考えて生まれた言葉なのかどうか、話し言葉と書き言葉のつながり合いといった言葉をめぐるその授業、学級固有のダイナミズムによっている。同じ言語情報を伝達するのだからどれも同じように伝わるという言語観ではなく、この対話への感受性が教室の学びを決めているのである。」